ブランド名として自分の名前を使用することには幾つかのリスクが伴う。米国のような国では、姓を商標として登録することに制約がある。
Broe Managementは、Pat Broeによって1970年に設立された米国の不動産投資会社で、「Broe」というブランド名をスタイライズして商標出願することで、その制約を回避しようと試みた(写真下)。しかし、米国特許商標庁(USPTO)は、「Broe」が姓であることを理由に出願を拒絶した。米国には「Broe」という姓を持つ有名な芸術家とオリンピック選手がいるのだ。USPTOはまた、緑の文字「o」があっても、ブランド名のスタイライズが充分であるとは判断しなかった。
識別力の獲得
この制約は、使用により姓が識別力を獲得したことを示すことで、姓の商標登録が可能であったが、Broeはこれを証明することはできなかった。なぜならば、スタイライズされたロゴは2015年8月以来の使用に過ぎなかったからだ。使用により獲得された識別力に基づいて商標登録するには、USPTOが通常必要とする5年の期間よりも大幅に短いものである。商標が長期間または集中的に使用されて広く認知されていれば、商標権を取得できる。言い換えれば、標識は識別記号として、つまり商標として機能し始めることになる。
Broeは40年以上「BROE」という名称を黒の標準的な大文字で取引に使用していたことを示すことで、USPTOの拒絶査定に対して審判請求を行った。USPTO審判部(Trademark Trial and Appeal Board)は、「商標法第2条(f)にある取引上5年間にわたる排他的かつ継続的な標章としての使用」であり、出願商標は文字「Broe」と取引上同じものであるとして、商標登録を否定する理由はないと判じた。
もし識別力の欠如や第三者に先に権利化されていて、名前の商標登録を拒絶されたときでも、通常のビジネス目的で名前の使用を諦めてはならない。その使用が第三者の権利を侵害するのかどうかを商標弁護士に確認してほしい。弁護士は、商標としての登録に必要な変更を含めて、商標の保護に必要な手段を助言してくれるはずだ。
本文は こちら (Surnames, trademarks and the importance of acquired distinctiveness)