2016年3月23日、「商標制度改革パッケージ」の一環として、欧州共同体商標規則(EUTMR)が発効した。 2017年10月1日には改革パッケージの第2フェーズが施行される。これには、団体商標の権利者や出願予定者に関係のあるEU証明商標(Certification Mark)の導入が含まれている。
EUにおける団体商標とは?
団体商標は、国や地域によって若干異なる意味を持つもので、例えば、ベネルクスで団体商標(Collective Trademark)は、団体が所有する商標(いわゆる組合商標:Association Mark)と品質標識(Quality Mark)の両方を意味する包括的なものである。一方、EUでは、「団体商標」という用語は組合商標にのみ適用されるため、今回のEU証明商標制度は品質マークを保護するための導入となる。
組合商標(Association Mark)
組合が所有する商標の使用は、その組合の加入者によるビジネスであることを示すものであり、通常、商標の使用は品質と表示において特定の基準を満たした場合にのみ許される。組合商標の使用によって、組合の顧客吸引力が増し、品質と表示の合致を示すことになる。下のロゴは、英国で活動している組合(団体)商標の例である。
品質を示す商標
品質標識は、特定の製品が客観的に計測可能な特定の基準を満たしていることを示すための標識である。平均的な消費者は、これらの標識によって製品やサービスが業界基準に従っていることを独立機関が評価し、保証していると理解する。消費者情報と消費者保護の必要性の高まりは、こうした標識の登場と使用に重要な役割を果たしている。下のロゴは、英国でよく知られている品質標識の例である。
EUでは団体商標と組合商標は同じ
EUでは、EUTMRで団体商標として組合商標の保護が規制されている。組合員(団体商標の権利者)の商品やサービスを他の事業者の商品やサービスと区別することができる標識として団体商標を定義しており、公法によって定められた団体と法人のみが団体商標を出願することができる。団体商標の出願人は、2ヶ月以内に少なくとも標章を使用する構成員や標章の使用規約、組合員になるための条件や制裁規定を提出する必要がある。
EUの証明商標は品質標識と同じ
2017年10月1日から、EUで証明商標を出願することができるようになる。その日から、EUTMRの第83条にある証明商標の保護が認められる。
一般に、EU証明商標は品質標識と同じ特徴と役割を持ち、EU内で商取引する企業にとって興味深い付加価値を提供するが、EU証明商標の権利を得るためには、出願人はいくつかの(追加の)条件を遵守しなければならない。これには、出願申請後2ヶ月以内に、証明商標の指定商品・サービスの特徴やEU証明商標の使用条件、EU証明商標の権利者が実施したテストおよびサーベイランス基準などの書類を提出するように義務付けられている。
EUで証明商標は必要か?
2017年10月1日からのEU証明商標の導入によって、企業はEU域内で品質標識を保護することができるようになる。品質標識の所有者や利用者であり且つEUにおける商標保護の重要性を認識しているのであれば、既にEUの団体商標や個別のEUTM(欧州連合商標)を登録しているはずである。したがって、2017年10月1日からは、より適切な権利保護が利用できる可能性がある。これはまた、EU域内であろうと域外であろうと、一般に品質標識が十分に保護されているかどうかを判断する良い機会にもなる。
EU証明商標により、権利の包括的な保護に向けて以下のことを考慮してほしい。
- ベネルクス、英国、EU(国際登録経由に関わらず)に有効な1つ以上の団体商標を所有しているか?
- 保有している場合、団体商標は品質標識として使用しているか?
- EUで、品質標識を保護することに関心があるか?
もし、どれかの答えが「YES」なら、早めに代理人と検討することを勧めたい。
本文は こちら (Important legal change as of 1 October for holders of quality marks)