映画スターや歌手には多くのファンがいるが、ある意味ファンにとってはその名前や人物像が有名人そのものと同じになるともいえる。人格権は無形資産だが、近年様々な有名人によって行使されている。最近、インドのカラーチャンネルがテレビ番組「Dev Anand」を公開するはずだった。しかし、番組のタイトル「Dev Anand」は、ヒンドゥー・シネマ伝説の俳優デブ・アナンド(Dev Anand)の名前と同じだったことから問題を招いた。デブ・アナンド氏は、「Jewel Thief(宝石泥棒)」、「Kaala Pani」、「C.I.D」のようなスリラー映画で主要な役を演じていた。そのため、ショーのタイトルが「Dev Anand」だと、それはスリラーであるかのような印象を持たせてしまい、ショーが、デブ・アナンド氏と関係があるかのように、また彼の作品の続編であるかのように思われてしまう。
デブ・アナンド氏の息子である俳優スニル・アナンド氏は、ショーのタイトルを変更するように通知した。「Dev Anand」商標は、すでにアナンド氏によって登録されており、インドの映画・TV製作者連盟にTVショー/映画としても登録されている。したがって、第三者によるテレビ番組タイトル「Dev Anand」の使用は不当である。後にこの問題は、ショーのプロデューサーとの間で友好的に解決され、ショーのタイトルは「Dev」に変更された。
重要なことは、有名人の名前はその人物を想起させ、その名前の使用が有名人の作品との関係性で公衆を誤認させるおそれがあるということだ。有名人の名前や作品を許可なしで使用することで、有名人の評判を貶めるおそれもある。デブ・アナンド氏はインド映画の伝説的な俳優の1人であるため、彼の名前やイメージを何らかの形で使用するには、彼の相続人の同意が必要となる。