8月18日午前、杭州インターネット裁判所が正式に設立された。中国のインターネット関連案件の集中管轄、裁判の専門化が杭州において新たなページを開いたことを意味するものだ。
同日午前9時40分、杭州インターネット裁判所は初の開廷審理を行った。案件は「呉雪嵐氏が広州網易コンピューターシステム有限公司及び網易(杭州)インターネット有限公司を訴えた作品の情報ネット伝播権侵害に関する係争案件」である。
原告は、両被告が許可なく原告の著作権を有する作品をインターネットで使用・伝播し、その著作権を著しく侵害し、原告に経済損失を負わせたとして、両被告に対して直ちに権利侵害を停止し、本案作品を削除し、原告の経済損失及び被告の権利侵害行為を調査・提訴するために原告が支出した合理的費用合計15万元を共同で賠償し、本案の訴訟費用を全部負担することを命じるよう裁判所に求めた。
被告によると、「網易クラウド閲読」のオンライン作品は全部許諾されたものである。原告は最初に『後宮・甄嬛伝(宮廷の諍い女)』(原告所有の作品)の使用権を藍獅子公司に供与した後、藍獅子公司がそれを網易公司に再許諾した。その後、原告は藍獅子公司へのランセンスを打ち切ったが、網易公司はそのことを知らなかった。よって被告は、原告の提訴を棄却し、藍獅子公司を第三者として訴訟に加えるよう裁判所に求めた。
本案は遠隔ビデオを介して審理された。法廷審理での画面は美しく、音声が途切れることはなかった。約20分間の法廷審理を経て、双方は和解交渉に入ることに合意した。最後に双方はコンピューターのモニターに表示された「確認」キーをクリックして、法廷審理記録を確認した。
当面、杭州インターネット裁判所は、杭州市におけるインターネット関連の一審民事・商事案件と一部の知財権案件、及び最高裁判所に指定された重大、難解、複雑なインターネット関連案件を審理するが、裁判環境の整備と審判経験の蓄積に伴い、将来的には杭州インターネット裁判所は管轄範囲と受理する案件類型を一層拡大し、浙江省(注:杭州市所属の上級行政区域)におけるインターネットに係る刑事、民事、行政案件及び中国全土における重大な意義のある指定管轄案件を徐々に審理するようになるだろう。
杭州インターネット裁判所の最大の特徴は、訴訟の全行程がネットにて行われることである。提訴、立件、挙証、開廷、送達、判決、執行がいずれもオンラインで行われるため、当事者は旅先で疲れることがなく、ネットショッピングのように便利に裁判を行うことができる。提訴手続きを例にとると、ネットショッピングの際に紛争があった場合、当事者は専用のウェブまたはAPPを開き、まず公安当局とリンクしている顔認識システムを介して身元確認を行い、書式情報を記入して提訴・応訴することができる。また、ネットバンクや支付宝(アリペイ)、微信財布(ウィチャットペイ)などで費用を納付することができる。立件後は、システムが自動的に電子商取引プラットフォームのオーダーシートにアクセスして証拠を確保する。