2017-10-16

日本:”SAKE”商標から見る「社会通念上同一の商標」- GMOブライツコンサルティング

”SAKE”商標の登録
「Urban Purveyor Group Pty Ltd」は、「SAKE」商標と「SAKE JR」商標において、文字と図形の組み合わせからなる結合商標と、文字のみからなる文字商標の両者それぞれでの権利化を行っています。
 文字と図形の組み合わせからなる結合(ロゴ/図形)商標と文字商標どちらで登録をするべきかという記事を以前ご紹介しましたが(記事はこちらから)、どちらを登録するべきなのでしょうか。
 また、登録商標のロゴデザイン変更等で変更された商標の使用について、どの程度の変更が認められるのでしょうか。「社会通念上同一の商標」についての観点からご紹介したいと思います。

「社会通念上同一」とは
 新しい広告宣伝を行ったり、登録商標の仕様を変更し、販売を促進することは現代のビジネスではよくあることではないでしょうか。登録商標から変更して商標を使用をしており、不使用取消審判を受けた場合でも、商標法では、全く同じでなくても、「社会通念上同一」と認められる商標であれば、不使用には該当せずに、商標登録の取消しを免れることができるとされています。
 不使用取消審判とは、継続して3年以上、日本国内において、商標権者または専用使用権者等が、各指定商品又は役務に置いて登録商標を使用していない場合に、誰でも、商標登録の取消しを請求することができるものです。
 「社会通念上同一」と認められる商標とは、書体のみの変更による同一の商標や、外観において同視される図形からなる商標、等の場合が挙げられます。

審決事例
登録商標が、結合商標からなる場合に、文字のみ、図形のみを使用した場合、原則として同一性が否定されることが多数審決結果から裏付けられています。これは、缶詰・ジャム類の製造で著名はアヲハタブランドの商標取消の審決において、登録商標の構成要素の図形の部分だけを使用していた事例です。
 登録商標と使用商標とは、「青色の三角旗の図形」の部分において類似する商標ということはできても、使用商標は、「アヲハタ」の片仮名文字の構成を欠くものであることから、両商標は外観において互いに同視される商標とはいえず、また、称呼及び観念においても同一とはいえないため、「本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められる商標ということはできない。」という判断がなされました。
引用:http://shohyo.shinketsu.jp/decision/tm/view/ViewDecision.do?number=1088631

使用を想定した登録の必要性
 結合商標を登録した場合、その一方のみを使用しただけでは登録商標の使用とは認められる可能性が低いため、結合商標での使用を徹底する必要があります。将来的に文字と図形を分けた形での使用が発生する場合は、文字と図形を分けた形で登録を行うことが理想的であると言えるのではないでしょうか。

「Urban Purveyor Group Pty Ltd」は将来の使用を見据え、結合商用と文字商標をそれぞれ権利化を行っており、適切な権利化を進めながら事業展開をしている企業であるのかもしれません。

本文は こちら (世界に広がる「SAKE」 登録商標から「使用を想定した登録の必要性」を考える)