世界中で多くの商標出願を行っている不可解な人、グライスナー氏については多くの記事が書かれている。さらに、グラスナー氏による多くの商標の取消し申請の矢面に立たされている大企業もある。
アップル社は、グラスナー氏から商標「KEYNOTE」に対する取消しを申立てられたが、上手く退けることができた。この申立ては、グライスナー氏が所有する企業の1つであるシャーロック・システムズ(Sherlock Systems)によって行われた。この会社は、アップル社の商標「KEYNOTE」が直近の5年間使用されていないと考えた。もちろん、アップル社のコンピュータを使っている人は誰でもこのソフトのことは知っているはずだ。
アップル社は、EUTM(欧州連合商標)権利者が保有するEU商標に対して、120もの不使用取消し申請が同時に行われたことが背景にあり、加えてその申請人は、英国知財庁に70件、北朝鮮のIP事務所に15件の不使用取消しを申し立てている、と述べている。アップル社によると、これらの行為には正当な目的はなく、「SHERLOCK」商標の移転に圧力をかけることや、「SHERLOCK」商標について当事者間の紛争解決にもっていくことを意図している。アップル社は、グレスナー氏が英国知財庁や北朝鮮の知財事務所に非常に多くの取消し手続きを開始することになったきっかけが、アップル社と争っていた「SHERLOCK」商標にあると認めたという英国知財庁の認定を強調している。
EU取消部は、「このケースは、申請人がEUTMR(欧州連合商標規則)第58条第1項(a)が示している公益とは関係なく、悪用するためにこの規定に依拠したものであり、EUの商標権者が提出する広範な使用証明を分析する必要はなく、取消し申請は完全に拒絶されるべきである 」と述べている。
多数の商標出願の背景についてはまだ分かっていないが、取消し理由のいくつかについては説明がつく。