地理的な余韻のあるブランドを商標として登録するには、「記述的」であるという判決が最近出された。「KARELIA」商標は、指定商品である工業潤滑油の原産地を単に説明するものだと考えられたからだ。
原則として、標識が商標として登録されるためには、関連する公衆が特定の事業者の出所表示として他社の商品やサービスと区別することができる「識別力」を持たなければならない。また、標識が指定する商品やサービスを単に説明している場合、この要件は満たされないとされる。すなわち、商品やサービスの性質、品質、数量、用途、価格または原産地を示している標識である場合である。
したがって、関連する公衆に指定する商品と場所を結びつけるような地理的名称を含んでいる商標の登録は拒絶される。この拒絶理由にはその場所がEUの一部のみであっても適用される。文字商標「KARELIA(カレリア:フィンランドの南東部からロシアの北西部にかけて広がる森林と湖沼の多い地方の名前)」の出願でも同様であった。
判決の背景
文字商標「KARELIA」は、工業潤滑油、グリース、燃料、および発光物質を指定して、欧州連合商標(EUTM)として出願したが、地理的名称の記述性から識別力がないという理由で登録を拒絶された。カレリアは、フィンランドとロシアの国境地域で、高度に機械化された林業とバイオ燃料の開発で知られている(地図参照)。
評価
記述的であり、識別力がない標識は、商品やサービスとしての独占を許さず、誰でも自由に使用できるように、公益上の商標保護の対象から除外される。地理的名称の場合、関連する商品の品質や特徴を示すものと受け取られる虞があるため、なおさら重要である。
関連する公衆が、地理的名称と指定する商品とを(現在または将来)結びつけるかどうかの評価において、審査官は商標出願に関連する状況を考慮する。EUIPO(欧州連合知的財産庁)が評価するものは;
- 商品やサービスの特徴
- 特に経済分野におけるこの地域の評判
- 関連する公衆の親近感
- 特定の地理的名称
- 特定の場所の特徴
- 商品やサービスの分野
「KARELIA」商標の場合、関連する公衆とは、高い関心を持つ一般的で専門的なフィンランド人およびスウェーデン人であり、EUIPOと審判部は上記の基準に基づいて登録を拒絶した。EU一般裁判所は、「KARELIA」という名前が関連する公衆に高度に機械化された林業とバイオ燃料の開発で知られているという審判部の決定を支持した。したがって、関連する公衆は、カレアリ地域と指定する商品を結びつける虞が高く、その結果、商標は、関連する商品の原産地を表すものとして認識され、商品の分野を記述的に表したものであり、識別力を欠いているというものであった。
関連する公衆
この場合、特に重要なことは、関連する公衆の一部でも地理的名称を商品の出所に結びつけると思われる場合、EU全体で商標を拒絶できるということだ。「識別力」要件は、それぞれの国の商標庁の政策に依存しているため、しばしば主観的に見られることがある。したがって、選択したブランドや商品名が、市場投入前に使用する分野や地域の登録要件を満たしているかどうかについて、専門家に相談することを勧める。