2017-11-10

EU:記述的でも組み合わせれば商標登録可能 - Novagraaf

識別力が欠如するとして商標出願が拒絶されることがある。しかしながら、記述的または識別力がない要素であっても、それらを組み合わせることで、全体的に識別性のある印象を作り出せれば、商標登録の障壁を克服することは可能である。NovagraafのFrouke Hekkerが説明する。

EUTM(欧州連合商標)の「SWEAT STOPPER(汗止め)」商標出願は、識別力要件を満たさないとして審査段階で登録を拒絶されたが、EUIPO(欧州連合知的財産庁)の審判部は、標準的な判例法に従い、標章が全体的な印象としての識別力を持てば、記述的/識別力のない要素の組み合わせであっても、識別力の要件を満たすことができるとの見解を示した。この例は文字と図形の結合商標「ECOSILVER」のEUTM出願に対する最近の判断にも見ることができる。

識別力の要件
ブランド名やロゴは、商標登録可能な識別性の基準を満たしていなければならない。特に、商標を付した商品やサービスを、他人の事業の商品やサービスとは区別することができ、特定の事業に属すると見なされるためには、「識別力」を持たなければならない。識別力がなければ、商標を出願しても拒絶か、商標権が付与されている場合は登録が無効とされ、取り消される可能性がある。

保護を求めている(要部となる)文字や図形要素が商品・サービスを記述的に表現している場合、識別性の要件を満たしていないとみなされる。言い換えれば、識別力を評価するとき、その出願商標で指定する商品やサービスを検討することが重要となる。商品・サービスは、45の区分(商品34区分、サービス11区分)から成るニース国際分類に基づいて分類されており、商標の権利範囲を定めるためにできるだけ明確かつ正確でなければならない。

「ECOSILVER」の例
本年9月、EUIPO審判部は、「ECOSILVER」(下図)という文字と図形の結合商標のEUTM出願に関する判断を示した。

2016年6月30日にドイツの会社が出願した商標に対して、EUIPOの審査官は、当該商標は、保護を求めている金属関連の商品やサービスに対して識別力がないという理由で商標登録を拒絶した。審査官は、関連する公衆には「ECO」と「SILVER」の文字要素が、指定商品・サービスの銀、金属、エコロジーのためのエコショート(silver, a metal, and eco short for ecological)に対して普通に記述的であり、「ちょっとした図形要素」では、商標を十分に区別できないと指摘した。

控訴審でEUIPO審判部はこの判断を覆した。審査官は銀自体がどのようにエコロジーと関係するかを考慮しなかったとし、文字要素の前の図形は、「位置や大きさの点で重要性がないわけではなく、平凡なものでもなく(…)、人間を写実的に描いたものでもないと考えた。また、図形要素は文字要素の意味を強調するものでもなく、エコロジーを表すものもなく、金属や色としての銀や銀で作られた普通の物体を表示するものではない」と判断した。そして、出願された文字と図形の結合商標は全体的に十分に識別力がある商標であると結論付けた。

「識別力」要件は、それぞれの国の商標庁の政策に依存しているため、しばしば主観的に見られることがある。したがって、選択したブランドまたは商品名が、市場投入前に選択した分野や地域の登録要件を満たしているかどうかについて、専門家に相談することを勧める。

本文は こちら (Combination of descriptive terms eligible for trademark protection)