2017-12-04

中国:商標の類否は構成要素の類似だけで判断できない - 林達劉グループ

商標審決取消行政訴訟で勝訴を収め商標登録した案件

概要:東京急行電鉄株式会社(以下「東急社」という)はその英文商号「TOKYU」を複数区分に登録出願したが、2020年東京オリンピックに係る商標「TOKYO2020+五輪図形」という先行商標の存在によって、東急社の一部の商標出願が拒絶査定された。弊所は東急社を代理し、商標審判委員会に拒絶査定不服審判を請求したが、拒絶査定を維持する審決が下された。そのため、弊方は当該審決を不服として、北京市第一中等裁判所に行政訴訟を提起した。しかし、商標の類否判断において、商標の構成要素に類似しているか否かだけに着目するのではなく、関連公衆に混同、誤認を招くおそれがあるか否かを判断基準にすべきであるという弊方の主張を、同裁判所は認めてくれなかった。そのため、弊方は北京市高等裁判所に上訴を提起した結果、弊方の主張を認めてくれ、一審判決及び拒絶査定不服審判の審決の取消しを命じる判決が下された。その結果、東急社の商標は無事登録された。

本事件ポイント:出願商標「TOKYU」と引用商標「TOKYO2020+五輪図形」とは、英文の構成は類似しているが、引用商標には「2020」及びオリンピック「五輪図形」の構成要素もある。オリンピックの五輪図形は、中国の関連公衆において極めて高い知名度を有しているので、顕著な識別力を有しており、「TOKYO」は日本の首都東京の英語表記で、それに「2020」が結合したものである。したがって、関連公衆は当該引用商標が2020年東京オリンピックに関連するものであると容易に識別できるため、出願商標「TOKYU」は関連公衆に混同、誤認を生じさせないと判断できる。

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