欧州連合条約(EU条約)は、脱退協定発効日もしくは協定締結に至らなかった場合、離脱を通告した日から2年以内に、英国に適用されなくなる。EU条約第50条第3項は、EU理事会と英国が一致すれば、この期間を延長できると定めている。最新の欧州委員会の通知では、この合意が期限内に批准されないときは、EU法の「一次法(Primary Community law)」と「第二次法(Secondary Community law)」共に2019年3月30日から英国には適応しなくなるとしている。NovagraafのAlastair Rawlenceは、「期間延長が合意に至る保証はなく、潜在的に起こりえる最悪のシナリオ」とコメントした。
2019年3月30日午前0時時点で、英国は通知上の「第三国」になり、(脱退協定に含まれる可能性のある移行手続き次第だが)欧州連合商標および欧州共同体意匠に関するEUの規則は英国での適応を終える。すなわち:
- 欧州連合商標と登録された欧州共同体意匠は、未登録の欧州共同体意匠同様、引き続きEU27加盟国で有効だが、脱退協定発効日から英国では無効となる。
- 欧州連合の商標出願や登録された欧州共同体意匠に関して、脱退協定発効日以前にペンディングだったものは、脱退協定発効日以降英国を対象として含まない。
- EUIPO(欧州連合知的財産庁)によって付与された権利は、EU27加盟国のみの適用となる。
- 英国の国内商標権に基づいてシニオリティ主張された欧州連合商標は、すべて脱退協定発効日以降EUで無効となる。
- 脱退協定発効日以前にEUを指定して登録された商標と意匠の国際登録は、脱退協定発効日から、EU27加盟国においてのみ有効であり英国では無効となる。
「第三国」とは?
CITMA、INTA、MARQUES、そして欧州委員会は、最近数ヶ月内にポジションペーパーを発表したが、現時点で英国政府から正式な反応は出されていない。欧州委員会の最新の通知では、問題の顕在化を高めるだけでなく、英国からの公式なガイダンスがない場合でも、企業に対して貴重なIP資産を保護する行動を促している。
つまり、欧州連合商標と登録・未登録の欧州共同体意匠の保有者は、すべての出願人や事業者と同様に、この問題を欧州と加盟国だけの問題とは捉えず、自社の問題であると考えて準備を怠らないようにということだろう。
考えられる不確実性や脱退協定の中身を考慮して、英国が「第三国」になったとき、上手くいく権利者と出願人は、現在適用されている共同体規則に起因する法的な影響を思い起こし、検討し、予測する必要がある。
Novagraafは、欧州委員会から最新の警告を受けて、英国において知的財産権を保護するために推奨される行動規範についてのガイダンスを発行する予定にしている。当面、助言とサポートが必要な場合は、躊躇なく弁護士や弁理士に連絡することを勧めたい。
本文は こちら (EC confirms EU IP rights will cease to apply to UK as of 30 March 2019)