韓国特許庁では商標審査基準、デザイン審査基準、商標デザイン審査事務取扱規定等を改正し、2018年1月1日より施行されている。その主な変更内容をまとめた。
1. 商標
(1) 一部指定商品放棄時の提出書類を簡素化
放棄書の別途提出なしで、納付書にのみ一部指定商品放棄の旨を記載して提出可能に変更。
(2) 登録商標の表示関連規定を新設
商品又は包装等に登録商標であるとの文字と登録商標番号の表示、また登録商標番号に代えてこれを掲載したインターネットアドレスを表示可能に変更。
(3) 立体商標の識別力判断基準を変更
立体的形状に対しては使用による識別力が認められなければならなかったが(識別力のある要素が結合された場合を除く)、立体的形状が指定商品(包装・容器を含む)の形状を表示するものであると認識されず、一般的又はありふれたものでない特異な形状である場合は識別力があるものと見ることに変更(例:「ライオンの立体的形状」に対して「自動車」を指定)。
(4) 設定登録料を納付しなかった先出願商標が引用された商標出願の審査処理を改善
先出願商標が設定登録料の納付期間内に登録料を納付しなかった場合、従来は権利回復の可能性のため1年以上後出願商標を審査保留としていたが、出願人の便宜及び審査処理期間の短縮のために、登録料を納付しなかった場合には当該商標は放棄されたものと見て後出願商標を審査保留することなく処理可能に変更。
(5) 「顕著な地理的名称+大学校」の結合商標の識別力判断基準を新設
顕著な地理的名称に大学校が単純結合された標章の場合には識別力がないものと見るが、「教育関連分野等」において特定人の商標として認識される程に知られている場合は識別力を認めるように規定。「教育関連分野」は教授・講義分野だけでなく衣類・食品分野等の大学校で実質的に事業化がなされる分野も含む。
(6) 著名商標等との類否判断時に他人であるか否かの判断時点を明確化
著名商標等と類似するか否かの判断は商標出願時を基準とするが、他人であるか否かの判断は登録可否決定時を基準としている点を審査基準に明確に規定。
(7) 無効処分による審査保留の例外規定を追加
審査件の関連書類等に無効処分があった場合、無効処分が取り消されても審査結果に影響を及ぼさない場合には審査保留しないことが可能に規定改正(例:出願人が書類を誤って提出し無効処分となった場合、手数料納付書を重複納付して一方が無効処分となった場合等)。
(8) 商品分類制度の改正
現行の商品分類制度に対しても様々な改正がなされたが、その主要事例として「健康機能食品」関連商品の第5類への単一化が挙げられる。
「健康機能食品」関連商品の場合、従来は主原料が果物なら第29類、穀物なら第30類のように主原料に応じて区分を分けて指定しなければならなかったが、食品というよりはある程度薬効・効能のある商品として「食餌補充剤」(第5類)と機能が類似することから、2018年1月1日以後の出願においては主原料にかかわらず第5類に単一化された[類似群コード:G1009(新設)及びG1004(薬剤群)適用]。
これにより、例えば「果実を主原料とする健康機能食品」、「卵を主原料とする健康機能食品」等のように商品名称表記を「主原料明示+健康機能食品」とすることで、主原料毎に第29、30類等に分けて出願しなくても第5類で登録を受けられることとなった。
一方、商品名称表記が「~~健康補助食品」、「~~健康食品」の場合は、食品に近い商品として依然として主原料に応じて第29、30類等に分類されているが[類似群コード:G1009(新設)及び主原料毎の該当コード適用]、上述した第5類の「~~健康機能食品」と類似群コードG1009が共通することから、商標出願時に第5類の「~~健康機能食品」を指定することで第29、30類等のG1009該当商品まで商品類似範囲に含まれるものと認められる効果が期待できる。
2. デザイン
(1) 部分デザインの創作上の一体性認定範囲を拡大
1デザインとして認められる部分デザインの創作的一体性の判断時、出願人の創作意図を考慮するようにしつつ、物理的に分離された部分が一つの創作単位として認識される場合も形態的一体性があるものと見るとともに、機能的一体性においては物理的に分離された部分が一体的関連性がなくても一つの機能を遂行する等の関連性があれば機能的一体性が認められるものと規定。
(2) 不登録要件の適用対象を明確化
不登録要件を審査するにおいて、部分デザインの場合は原則的に登録を受けようとする部分とそれ以外の部分を含めた物品全体の形態を対象に判断し、参考図面も原則的に含めて考慮するものと規定。
(3) 部分デザインの同一・類似判断基準を補完
部分デザインが同一であるか否かを判断するにおいて、部分デザインとして表示した実線部分が同一であり、破線部分のみ差異がある場合、比較される両部分デザインは原則的に同一デザインでなく類似デザインであるものと見る一方、破線部分の形状及び模様における差異が極めて微細であり全体的な審美感が同一である場合に限っては同一と判断するように規定。
(4) 画像デザイン審査基準を補完
画像デザインと関連しては、成立要件として視覚性にかかる判断基準と例示を新設し、物品の名称の記載方法にかかる例示を整備し、1デザイン1出願にかかる例示事例を具体化して追加。