アイルランドの総合格闘家で二階級制覇王者のコナー・マクレガーは、EUIPO(欧州連合知的財産庁)での一連の紛争でスポットライトを浴びているUFC(総合格闘技団体)とMMA(総合格闘技の略称)の有名な格闘家だ。最近、コナー・マクレガーは彼の名前とニックネームを権利化するための商標出願で彼の悪名を広げようとしているようだ。NovagraafのClaire Jonesがこの問題を解説する。
コナー・マクレガーは、彼の会社であるMcGregor Sports and Entertainment Limitedを通じて、2016年7月に幾つかの商品・サービスを指定して「Conor McGregor」と「The Notorious(悪名高い人)」をアイルランド特許庁に出願した。出願後18ヶ月経つが、これらはまだ係属中だ。
EUIPOの商標データベースを検索すると、8つの商標のうち以下の6つが現在異議申立の対象となっていることがわかる。
- 「Conor McGregor」 – 「McGregor」と「DD McGregor」商標の先行する権利を理由にDoniger Fashion Group BVが異議申立。
- 「The Notorious」 – 「Notorious Fightwear」商標の先行する権利を理由にAndrew&John Underwoodが異議申立。
- 「Notorious」 – 「Notorious」商標の先行する権利を理由にSeamus O’Haraが異議申立。
- 「I Am Boxing」 – 「I Am」と「I Am Men」商標の先行する権利を理由にMigros-Genossenschafts-Bundが異議申立。
- 「ChampChamp」 – 「Champ」商標の先行する権利を理由にCleats LLCが、「Champion」商標の先行する権利を理由にChampion Products Europe Limitedが異議申立。
- 「Mystic Mac」– 「M.A.C.」商標の先行する権利を理由にMake-Up Art Cosmetics Incが、「MAC」商標の先行する権利を理由にMAC Mode GmbH 7 Co KgaAが異議申立。
マクレガーにとって、これが最初の知的財産問題ではない。2016年に、Gazala Khan(個人)は、幅広いクラスの指定商品・サービスを指定して「Conor McGregor」と「Notorious」を含んだEUTM(欧州連合商標)を英国に3件、EUIPOに1件出願した。英国への出願は拒絶されたが、マクレガーは、彼の名前とニックネームに関する先行する権利を理由にEU出願に対して異議申し立てを行っている。さらに、Gazala Khanは、ドメイン名conormcgregorthenotorious.com、conorthenotoriousmcgregor.comとthenotoriousconormcgregor.netをドメイン登録した。
マクレガーは、米国でもChristopher Wallace財団(「Notorious BIG」として知られるラッパー)の先行する権利で、彼のニックネーム「Notorious」の商標登録が問題になった経験がある。
マクレガーがレストラン、衣料品、ビデオゲーム、アルコールなどを含む商取引で潜在的に使用するために彼のブランドを今後も保護しようとしていることは驚くにはあたらない。しかし、いくつもの異議申立を受けているということは、出願前に商標の登録・使用可能性を評価することの重要性を示している。個人が単に有名人だという理由だけで自動的に商標が保護されるわけではなく、いち早く商標権を獲得することを常に考えておくべきである。このことは、商標登録だけの問題ではなく、製品名を完全に変更しなくてはならないような事態になりえる使用に関する大きな問題になってしまう可能性を否定できない。
本文は こちら (Will ‘notorious’ Conor McGregor get knocked out in trademark fight?)