2017年9月1日から、タイでは、B.E.2560(A.D. 2017)により改正された商標法B.E. 2534(A.D. 1991)に基づく省令第5号に規定されている音商標の登録が可能になった。
Tilleke & Gibbinsは、タイで音商標を最初に出願をした法律事務所となったが、2018年1月12日現在、タイ知的財産局(DIP)に12件の音商標が、生理用ナプキン、乳児用おむつ、被服、食品、医薬品、技術機器、ビジネス管理サービス、車両、ゲーム、おもちゃなどを指定して出願されている。
ここでは、ブランド所有者が音商標の保護を求める際に考慮すべき重要なガイドラインを示す。
登録要件
他のタイプの商標と同様、音商標には以下の3要件を満たすことが求められている。①識別力、②法律による制約がない、③先行する商標と同一または混同するほど類似していない。
しかし、これらの3要件に加えて、商業の競争原理に悪影響を与えることを避けるために、法律は音商標の識別力の範囲を狭めている。
関連する商品やサービスの特徴を直接説明する音。
例えば、ミルクに関連した商品に使用される牛の鳴き声を含む標章は記述的な標章といえる。また、ペット製品との関連で使用される犬の鳴き声や、コンテストに関して使用される歓声と拍手などの音は識別力を認められない。
関連する商品やサービスに関連する自然な音。
例えば、アヒルから作られた製品に使用されるアヒルの声や、ナイフや切断装置、剪断機に関連して使用される金属工具で切断する音などは識別力を認められない。
特定の商品やサービスの運営によって発生する音。
例えば、衛生用品に関連して使用されるトイレの流す音や、カメラに関して使用されるカメラのシャッター音、または救急搬送や救護輸送サービスに関して使用される救急車のサイレン音には識別力は認められない。
考慮すべき事項
音楽は、タイの著作権法で保護することができるため、音商標に著作権対象の楽曲が含まれている場合は、著作権侵害の可能性を回避するために、著作権で保護されている作品の使用許諾や譲渡を受けることを勧める。さらに、音商標で使用する特定の音楽作品の著作権者に関する情報を出願書類に明記し、出願人が著作権を使用する権利をどのように取得したかを簡潔に説明するとよい。
音商標の出願人にとってのもう一つの問題は、音商標に含まれる文字が、同一または関連する商品・役務区分にある先行する商標に含まれている場合だ。その場合、審査官は商標タイプが異なるものであっても、先行商標との類似性に基づいて音商標の登録を拒絶する可能性がある。したがって、音商標を出願する前に、先行する音商標だけでなく、先行する文字商標も事前調査することを勧めたい。
ブランド・オーナーは、これらを踏まえて音商標を出願することで、商標としての音の権利を保護する必要がある。
本文は こちら (Sound Marks in Thailand: Understanding the Registration Requirements)