2009年および2011年に、ベルギーの企業Shoe Branding Europeは、下図左のEU商標を、履物と安全靴を指定して欧州連合知的財産庁(EUIPO)へ2件出願した。それに対して、ドイツのアディダス社は、先行する自社商標(下図右)を根拠に、商標の登録に異議を申立てた。今回の欧州一般裁判所の判決は、Shoe Branding EuropeがEUIPOの2件の拒絶を不服として行った訴訟を棄却したものである。
25類の履物を指定した2009年の出願に対して、アディダス社は先行する権利を根拠に異議申立てをしたが、2012年に異議部に、2013年に審判部によって、何れも認められなかった。2015年5月21日の判決は、一般裁判所がアディダス社の主張を認め、問題の商標間に類似性はないとしたEUIPOの決定を破棄したもので、この判断は2016年2月17日司法裁判所によって支持された。
9類の安全靴を指定した2011年の出願も、アディダス社によって異議申立てが行われたが、2014年に異議部によって棄却され、その後審判部に上訴されていた。2015年と2016年の判決により、EUIPOはアディダス社の異議を認め、Shoe Branding Europeが出願した2件の商標登録を拒絶した。EUIPOは、拒絶した理由として、問題の2商標間の類似性の度合いと、商標が指定する履物に関する商品の識別性と、安全靴に関する商品の類似性および先行するアディダス商標の名声とを考えると、関連する公衆が問題の2商標間の関係を想起し、出願された商標の使用によりアディダス商標の名声が不当に利用される可能性があることを挙げた。