2018-06-19

韓国で人気の日本外食チェーン、商標登録現況は? - Kim & Chang

最近韓国では、日本の外食チェーンや日本食レストランをいたるところで目にすることができる。これはいわゆる「マッチプ(美味しいお店)」ブームの高まりとともに外食産業が成長傾向にあることと、日本へ旅行する韓国人観光客が大幅に増加することにより、日本の外食ブランドや日本食に対する関心が高まっていることとの相乗効果によるものと考えられる。

実際に日本の『外食チェーン「顧客満足率ランキング」【ベスト80完全版】』 で紹介されたブランドには、「モスバーガー」「丸亀製麺」「CoCo壱番屋」など韓国でも馴染みのあるブランドが多数含まれている。また、まだ韓国に進出していないブランドでも、ブログ記事等を通じて国内に紹介されているものもある。このように日本で人気のブランドやアイテムの情報がリアルタイムで韓国でも共有される最近の状況から、韓国においても日本と変わらないレベルで多様な日本食を提供する(または提供しようとする)飲食店が今後より増えていくものと考えられる。

 [日本語の看板がみられる通り]

 一方、ランキング上のブランドのうち35%ほどは、韓国で商標登録を受けていないものと把握される。特に和食レストランの場合、日本でも一部地域のみを中心に展開しているチェーンは韓国での商標登録率も低い傾向にある。

 [ベスト80ブランドの業態別商標登録現況]

 このように現在韓国で事業を展開していなかったり、当分のあいだ韓国進出計画がない外食チェーンは韓国で商標権を確保しないこともある。しかし現在韓国市場に関心がないからといって韓国での商標権管理をおろそかにする場合、第三者に商標を先取りされてしまう事態が生じる可能性があり、将来いざ韓国に進出しようとしたときに、商標問題が足かせになることもあり得る。

 一例として、日本で有名な居酒屋チェーンが韓国に商標出願をしたが、これと同じ商標を第三者が先に登録を受けて使用しており、当該日本企業はこれに対し無効審判を請求したものの、大法院では第三者が以前から国内で商標を使用し独自の認知度と信用を構築するに至ったため、出願時点では「不正な目的をもって使用する商標」に該当しなかったと判示し、第三者の商標の無効化に失敗した事例がある。

 商標管理をおざなりにし、第三者によって商標が先取りされてしまうと、韓国進出が難しくなるだけでなく、昨今のように日本への旅行者が増え日本の外食チェーンブランドに親しんでいる韓国人需要者には日本のチェーンが韓国に進出したものであると誤認される可能性も高い。

 以上のような事例に鑑みると、自己のブランドを韓国で安全に使用し、また第三者の使用に対する牽制効果や権利行使の根拠を確保するためには、韓国へ進出の意志がある外食チェーンはそのブランドについて韓国で事前に商標調査を行ったうえで商標出願しておく必要があり、韓国への進出計画がなくとも、第三者による模倣などに対抗できるブランド保護手段として商標登録を確保しておくのが望ましい。

 1『外食チェーン「顧客満足率ランキング」【ベスト80完全版】』(2017124日、週刊ダイヤモンド編集部/ http://diamond.jp/articles/-/151643)