最近法院では、全国の飲食店などに無償で設置された競争社の専用うがい液ディスペンサ[1]に互換使用することができるうがい液製品を無断で製造・販売した行為に対し、不正競争防止法(以下「不競法」)違反という判決を下した。
原告は韓国で最初にオフィスや飲食店、ゴルフ場のような多数人が利用する施設の化粧室にうがい液ディスペンサを設置して、それに装着するうがい液を販売する事業を構想し、2003年頃から現在まで毎年数千台ずつ、計20億ウォンの費用を投じて全国各地にうがい液ディスペンサ約7万台を無償で設置し、多衆利用施設の管理者から設置許可を受ける過程でも相当な努力をし、2015年には原告のディスペンサ用うがい液の市場占有率は約58%、売上額は35億ウォンに上った。しかし被告が原告のディスペンサに簡単に着脱できるうがい液製品を無断で販売したため、原告はこれに対し販売差止請求の訴えを提起するに至り、法院は被告の行為に対して不競法第2条第1号ヌ目(2018年7月18日付でル目に改正)の不正競争行為に該当すると判断したものである。
法院は、①原告が国内各地に設置したディスペンサは上述のように原告の長期間にわたる相当な投資と労力により作成された成果に該当し、②被告がうがい液のボトルを十分に異なる規格で製作することができるにもかかわらず、原告のディスペンサに装着可能な規格で製作するに至った経緯について合理的な説明ができていない点、被告が原告のディスペンサにも被告のうがい液製品を使用することができると広報した点等に照らして、③当該製品事業の二番手である被告が原告のディスペンサに被告のうがい液製品を使用できるようにした行為は、原告が成し遂げた成果にフリーライドしようとするもので、公正な商取引慣行や競争秩序に反する行為であると判断した。結局、原告のディスペンサだけが設置されている施設に被告うがい液製品を販売して経済的利益を得て、それによってそのぶん原告うがい液製品が販売されないようにし、原告の経済的利益を侵害したため、不競法第2条第1号ヌ目(現行ル目)の不正競争行為であるとして被告製品の販売を差止める判決をしたものである。
本判決は不競法上の不正競争行為について新たな基準を提示した点で意味があると思われ、今後の不競法一般条項に関する法院判断の帰趨が注目される。
[1] 口腔清潔剤であるうがい液を必要量だけ備え付けの紙コップに注いで使用することができる装置