10月24日、楽天株式会社は国家戦略特区の千葉市で、ドローンとUGV(Unmanned Ground Vehicle、地上配送ロボット)を組み合わせた配送の実証実験に成功したと発表しました。今後、今回の実証実験の成功を受けて、ドローンとUGVを組み合わせた都市部での無人配送システムの早期構築を目指していくと言います。
元々は軍事用に開発されていたドローンですが、近年消費者向けや商業用に開発され、上空からの撮影、セキュリティ対策、救命救助、配達や広告など幅広い活用が進められています。出願商標から見えてくる、ドローン技術を積極的に採用する企業とは?をご紹介いたします。
Androidの父が率いる注目企業がドローン進出か
世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、指定商品名に”drone”を含む商標を検索した結果が 1,423件 。出願数の多い上位権利者はこちら;
順位 | 権利者名 | 事業内容 | 出願件数 |
1 | DJI(ディー・ジェイ・アイ) | 中国の商用ドローンやその関連機器の製造会社 | 61 |
2 | エッセンシャル・プロダクツ | 米国のテクノロジー・製造企業 | 54 |
3 | インテル | 米国の半導体素子メーカー | 22 |
2位には、「Androidの父」として知られるアンディ・ルービン氏率いるエッセンシャル・プロダクツがランクイン。スマートフォンとスマートスピーカーを開発しており、ドローンについての開発状況はWEB上では確認できませんでしたが、2017年5月~7月の短期間で54件ものドローン関連の出願を行っていることからは、ドローンの開発が進められている可能性が高いことが伺えます。また、出願商標の指定商品・役務には”無人機(ドローン)および自律型車両のためのリモートビデオ監視システム”が記載されており、下記のような出願態様も確認できることから、「家や自動車のセキュリティドローン」のサービスが控えていることが、考えられます。
●ESSENTIAL CAR
●ESSENTIAL DRIVE
●MY HOME IS ESSENTIAL
最新技術を積極的に取り入れる企業
全1,423件の内、2018年に出願された商標は368件。2018年に出願数の多い上位権利者はこちら;
順位 | 権利者名 | 事業内容 | 出願件数 (2018年) |
2017年との増減 |
1 | ジャガー | イギリスの高級車メーカー | 15 | +1 |
2 | ボーイング | 米国の航空宇宙機器開発製造会社 | 9 | 0 |
2 | WING AVIATION | 米国の航空会社 | 9 | 0 |
3 | Z NAUTIC | 安全装置の世界最大メーカー | 8 | 0 |
1位にランクインしたのは、VRやAR技術などの最新技術を利用したマーケティングを確立しているジャガー社。
2018年10月、オーストリア赤十字社の災害救援活動を支援する目的で開発された、SUV「Land Rover Discovery」。ルーフ部分にドローンを備え、被災地の調査や被災者の捜索を上空から実行でき、最新鋭の通信システムを備えている車両。ドローンを利用することで、現場に直接アクセスできない状況でも、救助隊員の安全を確保しつつ、災害の様子を映像で確認することが可能。特に、地滑りや地震、洪水、雪崩などで地図が役に立たない場合でも、地形などを確かめられると言います。
2018年9月28日に「Discovery」が出願されており、指定商品・役務に”ドローン”が記載されていました。”ドローン”を含む出願は、2017年に1件の後、2018年2月から毎月出願がされています。また、2018年、新型「XJ」の注目を集めることを目的に、ドローンを利用した斬新な形態のレースを開催するなど、同社がドローン技術を積極的に採用していく姿勢が垣間見れるのではないでしょうか。
出願商標からは、各企業がどのようにドローンを活用をして行くのかが見えてきました。商標のデータベースを注意深く見ていくことで、上空からの撮影、セキュリティ対策、救命救助、配達や広告以外でのドローンの活用も見えてくるのではないかと感じます。