最近のEU一般裁判所の判決で、立体商標は商品の形状またはその容器で構成されると確認された。クレア・ジョーンズが解説する。
ドイツのWajos社は、EUで2015年12月に立体形状のボトル(右図)の標章を食用油と飲料を指定して、29類、30類、32類、33類に商標出願した(商標の詳細は こちら)。
EUIPO(欧州連合知的財産庁)の審査官は、当該標章が商業的な出所を示すことができず、識別力がないという理由で商標登録を拒絶した(この決定は審判部で支持された)。このことは、ボトル形状の商標登録を求めてきた人たちにとって驚くべきことではない。
しかし、EU一般裁判所はEUIPOの決定を覆し、その形状が立体商標として登録可能であり、問題の標章が消費者の目を引くのに十分な特徴があることを条件に、消費者は出所表示として当該容器の形状を十分に認識できるとし、立体商標の識別性の評価は他のタイプの商標より厳格であってはならず、登録が求められる形態が最低限の識別力を有し、適用すべき拒絶理由がなければそれで十分であると判示した。
技術的且つ機能的
EUIPOの審判部は、形状は指定する商品に使用される普通の容器の形態であり、普通のボトル形状と大きな違いがないとし、唯一の違いは中心の球(「水滴」)の部分だが、この水滴部分は技術的で且つ機能的な商品の特徴であるため、商標として登録できないと主張したが、EU一般裁判所は、食品部門の競合企業は、商品の容器とラベルに関して技術的な制約に直面しており、故に企業が消費者の目を引き付けるために自社の製品と競合他社の製品とを区別するインセンティブがあるとの判断を示し、審判部の主張を認めなかった。
最低限の識別力
裁判所は、ボトルの水滴部分が最低限の識別力になり、その特徴は技術的且つ機能的な特性を有しているものの審美的価値も有しているとした。
立体商標として形状の保護
Wajos社は、控訴審で勝訴したものの、この判決はボトルの形状を保護しようとする人にとっては明確な指針にはなっていない。裁判所は、消費者が容器を製品の出所を示すものとして見ることができると認めたが、消費者の目を引くのに十分な識別性を有する形状である必要があり、このケースでは水滴部分のある特殊な形状は、他の伝統的なボトル形状からはかなりかけ離れている。
とはいっても、今回の判決が立体商標として形状を保護しようとする出願人にとって良いニュースであることに間違いなく、EUIPOの将来の決定にプラスの影響を与える可能性がある。
本文は こちら (General Court doesn’t bottle it in 3D trademarks ruling)