ビラボン(BILLABONG)は、オーストラリアで生まれたサーフブランドで世界中のトップサーファーから支持されている。そのビラボンは、最近EUに出願された商標「BILLA」に対して異議申立てを行った。「BILLA」と「BILLABONG」は類似するのだろうか?
先行して審理したドイツ特許商標庁は非類似と判断した。しかし、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、この問題について異なった見解を示し、両商標は類似するとの判断を下した。 もちろんEUIPOは、他の商標登録機関の決定に影響を受けることはなく、ビラボンの異議を認めた。
BILLAは審判部に上訴し、「BONG」の追加要素があるため全体的な印象が異なることを強調し、BILLABONGは「行き止まり水路」を意味し、この観念上の違いにより外観と称呼の類似性が中和されるため混同の虞はない、と主張した。
EUIPOの審判部は、この主張を退け上訴を棄却した。どちらの登録も文字商標であり、スペリング上の違いの指摘は適切ではない。また、「BILLABONG」には意味があるかもしれないが、これはオーストラリアだけでしか通用しない。欧州の公衆がこの意味を理解している、あるいはそれに精通していることは示されていない、と判じた。
欧州連合(EU)の商標法は共通の基盤を持っているが、各国は独自の商標法の歴史と解釈がある。したがって、この場合に見られるように、ドイツ特許商標庁が欧州連合知的財産庁と異なる決定を下す可能性はある。これは当然のことではあるが一貫性の観点からは好ましくない(EUIPOの決定に各国が同調する傾向はある)。