2018-12-13

韓国:「懲罰的損害賠償」などに関する特許法改正案が成立へ - Kim & Chang

2018年12月7日、特許法一部改正法律案が国会本会議を通過した。今回改正された特許法(以下、「改正特許法」という)は、まもなく公布されるものと予想される。施行日は公布後6カ月が経過した日である。

1.   懲罰的損害賠償の導入(改正特許法第128条第8項及び第9項の新設)
今回の改正によると、特許権または専用実施権の侵害行為が「故意」と認められる場合には損害として認められた金額の3倍を超えない範囲で賠償額を認めることができるようにし、特許権または専用実施権の侵害による被害の救済を強化することにした。特許権または専用実施権に対する故意侵害の場合の賠償額の判断は、(i)侵害者の優越的地位、(ii)故意または損害発生のおそれを認識していた程度、(iii)侵害行為によって特許権者及び専用実施権者が被った被害規模、(iv)侵害行為によって侵害者が得た経済的利益、(v)侵害行為の期間・回数など、(vi)侵害行為による罰金、(vii)侵害者の財産状態、および(viii)侵害者の被害救済努力の程度を考慮するものとされた。
懲罰的損害賠償に関する新設規定は、同法施行後、初めて違反行為が発生した場合から適用される。

2.   実施料賠償規定の改正(改正特許法第65条第2項及び第128条第5項の改正)
従前の特許法第65条第2項は「…特許出願人は第1項による警告を受け、または第64条によって出願公開された発明であることを知り、その特許出願された発明を業として実施した者にその警告を受け、または出願公開された発明であることを知った時から特許権の設定登録をするまでの期間の間、その特許発明の実施に対して通常受けられる金額に相当する補償金の支払いを請求することができる…。」と規定されていた。また、従前の特許法第128条第5項は特許権侵害による損害賠償請求の場合、その特許発明の実施に対して通常受けられる金額を特許権者または専用実施権者が被った損害額として損害賠償を請求することができると規定されていた。
これに対し今回の改正では、上記特許法第65条第2項及び第128条第5項において、従前の「通常」受けられる金額を「合理的に」受けられる金額へと改正した。

3.   具体的行為態様の提示義務の新設(改正特許法第126条の2)
今回の改正によると、特許侵害訴訟において、特許権者または専用実施権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否認する当事者は、自らの具体的な行為態様を提示すべきものとした。今回新設された特許法第126条の2は次の通りであり、同法施行後、初めて請求される特許権及び専用実施権侵害訴訟から適用される。

第126条の2(具体的行為態様の提示義務)①特許権または専用実施権侵害訴訟で特許権者または専用実施権者が主張する侵害行為の具体的行為態様を否認する当事者は、自らの具体的行為態様を提示しなければならない。
②法院は、当事者が第1項にもかかわらず、自らの具体的行為態様を提示できない正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するためにその当事者に資料の提出を命じることができる。ただし、その資料の所持者がその資料の提出を拒絶する正当な理由がある場合には、この限りでない。
③第2項による資料提出命令については、第132条第2項及び第3項を準用する。この場合、第132条第3項のうち「侵害の証明または損害額の算定に絶対に必要なとき」を「具体的行為態様を提示できない正当な理由の有無の判断に絶対に必要なとき」とする。
④当事者が正当な理由なく自らの具体的行為態様を提示しない場合には、法院は特許権者または専用実施権者が主張する侵害行為の具体的行為態様を真実のものとして認めることができる。