確実性を求める人は多いが、法律の世界では、状況によって結果が異なるということがよくある。迷惑な話だが、決断をするには確実性を探すことになる。
プラダ事件はこれをうまく説明している。以前の記事(アナグラムの商標出願)で、カルバン・クラインが「CAIVENKELIN」商標に対して申立てた異議が、首尾よくEUIPO(欧州連合知的財産庁)に認められた話をしたが、PRADA(プラダ)は「PULADA」商標を欧州で止める事が出来なかった。プラダの商標と「PULADA」は、フォントが同じで、「PULADA」が「PRADA」の中国語音訳であったが、異議の役には立たなかった。
EUIPOは、文字「R」と「UL」の違いから生じる類似度は高くなく、フォントに類似性はあるが、このフォントはプラダの商標に識別力を与えるものではない平凡なもので、中国語は欧州連合の公用語ではないため、中国語の音訳を考慮することはできない、というものであった。
商標の全体的な印象から、EUIPOは両商標が十分に異なるという結論に達した。
カルバン・クラインのときとの違いは何だろうか?カルバン・クラインのときの方が、商標間の類似性に説得力はあるものの、プラダはプラダの名声による説得力で補完した証拠を出せそうに思える。プラダはそれに失敗したということだ。
2019-03-15