韓国の現行商標法では、商標権が共有である場合、当該商標権の更新登録申請は共有者全員が共同して行わなければならず(商標法第84条第3項)、また同規定に違反して行われた存続期間の更新登録は当該更新登録に無効事由があると規定し、無効審判により更新登録が無効にされる可能性がある(商標法第118条第1項第2号)。
ところが最近、このような共有商標権の更新申請時、共有者全員による申請制度を廃止し、各共有者のうち1人のみによる申請によっても商標権が更新登録されるようにする商標法一部改正案が国会を通過した。同改正法は4月23日に公布され2019年10月24日から施行される予定であり、同施行日以後の更新登録の申請から、共有商標権であっても1人のみによる申請が可能になる。
特許庁は、共有商標権者のうち一部の所在が不明であったり、または一部の当事者が故意に更新登録申請を拒否する場合は商標権の更新が難しく、結局存続期間満了により権利が消滅し、結果同一商標を改めて出願して登録を受けなければならない時間的・経済的コストが生じるだけでなく、その間に第三者による同一・類似標章の先出願があれば再登録を受けることができなくなる可能性もあるため、そのような被害を防ぐために共有商標権の更新手続を緩和したと説明している。併せて、特許権などとは異なり、信用の標識である商標権の特性上、共有商標権は共同事業などのための個人・零細事業者による共同出願が大部分であるが、最近3年間で共有商標権の更新登録が申請されたものの返戻された179件のうち43件(23%)が共有者全員による申請でなかったために更新が認められなかったケースであった点に照らし、今回の商標法改正により主に個人零細事業者が商標権をより簡便かつ速やかに更新登録できるようになり、商標権消滅の心配なく安定的に事業を営為できるようになることを期待したいとしている。