2019-04-01

EU,米国:キャンベルとマクドナルド:商標の使用証拠の違い - Marks & Clerk

 EUと米国における2つの注目すべき決定は、商標権の維持と獲得に商標の使用証拠が果たす役割の重要性について改めてスポットを当てることになった。

 マクドナルドが提出した商標の使用証拠は、その質の悪さからマクドナルドのEU商標「big mac(ビッグマック)」の登録が、アイルランドのスーパーマック社によって取り消されてしまった。売上高の規模、販促資料、Webサイトの画像による証拠は、すべて証拠価値が低いと見なされた。EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、そのような証拠は指定商品・サービスに関する「BIG MAC」商標の実際の商業的存在感を反映するものではないと判断した。

 一方、これとは対照的に、米国でキャンベル・スープ・カンパニーは、文字「chunky(具入り)」を首尾よく登録することができた。一般的には、登録が求められている商品・サービスに関係する記述的な用語は、一事業体に独占させるべきではないといえるが、キャンベルは、米国の消費者がキャンベルの出所を示すスープの商標として「chunky」を識別することができるほど、「chunky」という用語を米国で使用しているという明確な証拠を提出することができた。
 キャンベルが提出した証拠は充実しており、キャンベルの「chunky」ブランドに関するサタデーナイトライブやザ・シンプソンズなどの著名なテレビ番組や、ウータン・クランの一員であるゴーストフェイス・キラーなどの有名なヒップホップアーティストの歌で「chunky」を特徴づけるなど、1998年以来10億ドルにおよぶ広告費の支払いを示す証拠が含まれていた。 
 米国特許商標庁は、提出された証拠により、スープに関して米国の消費者がキャンベルの出所を示す製品の商標を見る限りにおいて、「chunky(具入り)」という用語が大衆に受け入れられたことを示す証拠の重みが十分あると判断した。 

スープとハンバーガーから得られる教訓
 これらの事例は、強力な権利行使可能な商標権の獲得又は保有により権利が可能な限り最強の立場にあることを保証するためには、商標の使用に関する文書化が重要であることを示している。商標所有者には、その規模にかかわらず、商標の使用を明確に反映するための記録管理が不可欠だ。

使用しなければ権利を失う!
 5年以上前に登録した商標を所有している場合(欧州の場合)、指定する商品・サービスにその商標を使用したことを証明できないないと、商標権の取消し請求に対して脆弱になる。また、第三者による商標の使用や登録を阻止しようとしたとき、第三者は登録商標が使用されているかことに関する証拠を提出するよう求めることができる。

未登録商標の権利
 商標を一定期間使用したが登録していない場合でも、すべてが失われるわけではない。関連する公衆が、商品・サービス出所を示すものとして商標を識別していることを示す証拠があれば、未登録の権利を主張できる可能性はある。
(Essential Retail掲載記事より) 

本文は こちら (Campbell’s vs McDonalds: Lessons for FMCG brands and trademark owners)