ラフィット傘下のシャトーオーシエールが中国で初勝訴――抜け駆け登録された中国語の商標がついに無効審判
事案の詳細:
シャトーオーシエール(CHATEAU D’AUSSIERES)のワインが中国市場に参入して間もない頃、複数の代理業者は、適切で語呂の良い中国語の名称を見つけようと試みた。「CHATEAU」は外国語における既存の語彙であり、「ワイナリー、古城」の意味を持つ。また「D’」はフランス語で所属関係を表す前置詞であり、実際の意味はない。最終的に「奥希耶」が「AUSSIERES」の中国語訳とされ、数年にわたり関連分野において口々に伝えられ、公衆にも熟知されるようになった。しかし、速やかに当中国語商標を登録しなかったため、2010年に商標「奥希耶」は、福建省福州市の賀蘭山思域酒業銷售有限公司により「ワイン」などの商品において抜け駆け登録されてしまった。
シャトーオーシエールは2015年12月1日、国家知識産権局(現在の国家工商行政管理総局商標評審委員会)に対し、第8836240号商標「奥希耶」に対する無効審判を申立てた。商標評審委員会は、「奥希耶」および引用商標 「CHATEAU D’AUSSIERES」の文字構成、称呼、全体の外観などの面には顕著な相違があると認定し、当紛争商標を維持した。
シャトーオーシエールは当裁決を不服とし、北京知識産権法院に対し行政訴訟を提起した。
法院による判决:
北京知識産権法院は2018年3月29日に第一審判決を下し、シャトーオーシエールは「CHATEAU D’AUSSIERES」および標章「奥希耶」を大量に使用し、比較的高い知名度を有しており、「AUSSIERES」と「奥希耶」はすでに一対一の対応関係にあると判断した。「奥希耶」と「AUSSIERES」との安定的な関係により、もし係争商標の登録を承認した場合、必然的に公衆の混同と誤認を招くため、係争商標と引用商標は商標の類似を構成する。北京高級人民法院は 2019年3月18日、第一審判決を維持する確定判決を下した。
事案の意義:
本件の代表的意義は、商標の類似性を判断する固有の基準が打破され、中国語商標と外国語商標が安定的な対応関係にありさえすれば依然として類似性を構成し、周知された外国語商標の中国語の訳文を商標とする冒認出願の取締りに解決策が示されたことにある。商標の類似性を判断する際、物理的な対比の実施に限定するのではなく、外国語商標の知名度、関連する消費者の認知、抜け駆け登録を行った者の悪意などの面を総合的に考慮し、全面的な分析が行われた。
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