2019-07-24

韓国:化粧品法規制による不使用は取消しを免れる正当な理由に該当 - Kim & Chang

最近韓国で、化粧品法の規制による登録商標の不使用は商標権者の帰責によるものではないので、その取消しを免れる「正当な理由」に該当するという特許審判院の審決が出された。

特許審判院は、化粧品メーカーA 社が製薬会社であるB社を相手取り請求した不使用取消審判において、化粧品などに対して登録されたB社の「マデカソル」、「MADECASSOL」商標は審判請求日前の3年間使用されなかったものの、化粧品法の規制による不使用であって商標権者の責に帰すことができないため、その取消しは認められないと判断した。

傷治療用軟膏「マデカソル」で有名なB社は、「マデカソル」、「MADECASSOL」商標を化粧品類にも商標登録しておいたが、これをそのまま使用する場合、医薬品分野ですでに有名な自らの医薬品との誤認可能性による化粧品法への抵触が憂慮されたため、これを若干変形させた「MADECA CREAM」、「マデカクリーム」商標を化粧品類に別途登録し使用してきたところ、当該審判では化粧品法上の規制による不使用を果して商標不使用の「正しい理由」と認めることができるかが問題となった。

商標法は、登録商標が一定期間(3 年間)使用されていない場合にその登録を取消すことができる制度をおいて登録商標の使用を促進する一方、第三者に商標使用の選択権を広げるようにしているが、例外的に、商標不使用の「正しい理由」があるときはその取消しを免れることができるようにし、商標権者に対する保護を図っている。ここで商標不使用の「正しい理由」とは、疾病、その他天災地変などの不可抗力によって営業ができない場合だけでなく、法律による規制、販売禁止、または国家の輸入制限措置などによってやむを得ず登録商標の指定商品が国内において一般的・正常的に取引できない場合のように、商標権者の帰責事由によらない商標不使用の場合も含まれる。

このような「正しい理由」と関連し、特許審判院は「マデカソル」、「MADECASSOL」商標は傷治療用軟膏市場で国内の一般需要者や取引者に特定人の商標と認識されることができる程に知られており、これと同じ商標を化粧品の商品名として使用する場合、一般需要者は当該商品を医薬品と誤認するおそれがあるところ、化粧品法第13条等で定める「医薬品と誤って認識するおそれがある表示または広告(注1)」に該当するため商標権者の不使用に対して正当な理由があると認めた。

今回の特許審判院の審決は、これまでの不使用取消審判において取消しを免れることができる「正しい理由」について厳格に解釈していた従来の判例傾向を考慮するとき意味のある審決とみられ、今後請求人がこれに対し不服を申し立てた場合の特許法院の判断の帰趨が注目される。

注1:化粧品法では、製造業者、製造販売業者または販売者による「医薬品と誤って認識するおそれがある表示または広告」行為を禁止しており、これに違反する場合、該当品目の販売業務または広告業務を3カ月乃至9カ月間停止する行政処分の対象になり得る。