最近、韓国で立体商標に対し、使用による識別力を認める趣旨の審決が相次いで下された。
特許審判院ではVan Cleef & ArpelsのアルハンブラコレクションのモチーフであるリングとHermesのバーキンバッグの形態を立体商標で出願した事案で、それぞれの指定商品であるアクセサリーとカバンに対する一般的な形態に該当するため、構成自体としては識別力は欠如しているが、請求人が提出した韓国での使用期間資料、売上額及び広告費、新聞報道資料、需要者の認識調査及び海外での登録例などをもとに、使用によって識別力を取得したと見た。(特許審判院2018ウォン1408審決及び2018ウォン48審決)
2014年施行の商標法では、「使用による識別力規定」と関連して需要者の間で「顕著に」認識されていることを要件にしていたものを「特定人の出処として認識されれば」十分であるとして、その基準を緩和した。これは構成自体で識別力が弱い標章であっても個人と企業が実際の識別表示として使っている場合には商標登録を受けられるようにすることにより、個人と企業のブランド管理活動を積極的に支援する趣旨である。特許審判院もまた、このような趣旨に合わせて立体商標の識別力判断として柔軟な基準を適用していると解釈される。
最近では文字商標の部分は除外して商品形態のみを模倣する製品が増加しており、このような模倣品の場合には意匠法や不正競争防止法のデッドコピー条項などによって保護することも考慮できるが、商品形態に対し半永久的な権利である商標権を確保しておくことにより模倣品に対する強力な権原になる。
上記のような審決が出てきている傾向に合わせて、公知となったり発売されて相当な期間が経過し他法による保護が難しい商品形態に対しては使用による識別力を立証できる資料を蓄積しておき、立体商標で登録を試みるなどの戦略を考慮することができる。(弁理士 徐蓮珠)