商標代理人は文字とロゴの商標を好む傾向がある。なぜならこれらの商標は識別力さえあれば概して受け入れらやすいからだ。
一方、非伝統的な商標は苦労が絶えない。いろいろな形態のある色彩、音、動画、装飾の商標を受け入れてもらうには多くの障害がある。少なくともEUでは。
また、受け入れられたあとには使用の要件も潜んでいる。使用要件によりアディダスの3本ライン(縦縞として登録)の商標権が無効とされた。裁判所は、登録された3本ラインは製品に使用されていないとの判断を示した。変形した3本ラインは、商標の真正な使用と見なされなかった。現実の世界には、イメージ、音、匂い、感覚が働く5次元がブランド・エクスペリエンスとしてあり得るが、これを商標法で主張するのは難しいように思える。
位置商標も非伝統的商標だが、最もよく知られている位置商標は、リーバイスの赤いタブであろう。ノルウェーのスポーツアパレルメーカー、ヘリーハンセン(Helly Hansen)は最近、位置商標「商標は、1/1、33比率の斜めの平行線で構成されており、商標は衣服の袖の全長または下部に沿ったもの」の登録を試みた。
しかし、この画像イメージは衣服と「HH」のタブを示している。特定の要素を商標保護の対象にしない場合、その要素を点線で表示する必要があるが、この出願商標には示されていない。つまり、この場合、通常商標全体で評価する必要があり、それによって「HH」タブはHelly Hansenを参照するものと見なせる。標識は商標として認識されないため商標の登録は拒絶された。
EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、関連する公衆は平行線から製品をヘリーハンセンのものであると認識できないと判断した。