ロンドンにあるJ.S.S. Tobacco Ltd.は、ある商標をロシア特許商標庁に出願した。
審査官は、商標に北部イングランドを代表する都市である「マンチェスター(Manchester)」という文字が含まれていたため、商品の生産地または出願人の所在地を指すものだと指摘し、商標登録を拒絶した。
商標出願時の出願人の住所は「ロンドン」と記されており、商標の文字要素「マンチェスター」もまた都市名である。したがって、特許商標庁の査定では、これが消費者にとって商品の製造業者の住所または生産地に関する誤解を招くものであると判じた。
出願人はこの査定を不服として上訴し、特許商標庁に対して住所がマンチェスター変わっていたことを主張した。特許紛争評議会は、出願人による商標出願の修正は有効であるとし、住所の変更により商標登録を拒絶する理由がなくなったとの認識を示した。また、「マンチェスター」という文字要素は権利の一部であり、英国の都市の名前として商品の生産地を特徴づけている。したがって、商標登録を許可することができると判じた。
これに関連して、別の商標登録事例「Chicago LLC」が思い出される。
この商標登録は拒絶され、出願人は同じ特許紛争評議会に上訴した。出願人は当時の住所(ロシアのサンクトペテルブルグ)を変更することがなかったが、「シカゴ」という文字は消費者(美容院の利用者)を誤解させないとの判断が示されていた。
「マンチェスター」の場合、出願人は拒絶リスクを回避する簡単な方法を見つけたのだ。
本文は こちら (Russia: Manchester in London, Chicago in St Petersburg)