商標に対する審査は原則的に出願順に行われるが、すべての出願に対して例外なしにこのような原則を適用した結果、迅速な権利確保が必要であったり権利侵害のおそれがある場合に出願人の権利を適切に保護できないなどの問題が発生し、このような問題点の解決のために韓国は2009年から優先審査申請制度を導入し、現在まで10年以上施行されている。
これと関連し、最近の韓国特許庁の発表によると、導入初期に年654件に過ぎなかった優先審査申請は右肩上がりの増加傾向を示し、近年では2014年の3,487件から2019年には7,595件に急増し、最近5年間(2014~2019年)で約2.2倍増加したことになる。通常の一般審査であれば約7ヶ月を要するが、優先審査を申請すると申請後約2ヶ月で商標登録の可否を確認できるという点が優先審査制度の利用件数増加の理由と分析される。
優先審査申請の事由としては商標法と同施行令に10種類の類型があり、そのなかで日本企業による主な優先審査申請事由は、「出願人が出願した商標を使用しようとする商品すべてに対して使用しており、または使用を準備していることが明白な場合」(以下「使用または使用準備中である場合」)であった。2019年7月からは「出願商標と関連し、特許庁長が告示した専門機関に先行商標の調査を依頼し、その調査結果を特許庁長に通知するよう当該専門機関に要請した場合」(以下「専門調査機関依頼の場合」)にも優先審査申請が可能なように要件を緩和して出願人の便宜を大幅に向上したが、これは日本の商標早期審査対象にはない事由である。
使用または使用準備中である場合は資料が客観性を欠いていれば補充資料を準備しなければならず、指定商品の類似群コードが多数である場合は類似群コード別に立証書類をチェックしなければならない等の煩わしさがある反面、専門調査機関依頼の場合は多少の費用的負担はあるものの、出願後に調査依頼さえすれば優先審査決定が直ちに出されるため、このような手続き的煩わしさがないメリットがある。早急な審査が必要な日本企業にとっては有効に活用してみる価値があるシステムで、今後優先審査申請時に一考するに値する申請事由であると思われる。