2020-03-04

EU:商標「Mystar Global Star Registry」の異なる2つの拒絶理由 - Novagraaf

星に名前を付け証明書の発行する有償サービスが商標として誤解を招くとして登録を拒絶された事例をLouise van de Mortelが解説する。

星に名前をつけて大切な人に贈ることが近年人気になっている。Newbury Healthcapは、そんなサービスを提供する会社だ。
この会社は、「Mystar Global Star Registry」を欧州連合商標(EUTM)として、証明書と登録管理に関連するクラス(16類と35類)に登録しようと試み、失敗した。

拒絶査定:識別力がなく記述的
Newbury Healthcapは、2018年7月に14類(宝飾品、メダルなど)と16類(出版物、証明書など)の商品と35類(証明書の発行など)のサービスを指定して文字商標「Mystar Global Star Registry」の登録を申請した。
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、登録が求められている一部の商品やサービスに関して、文字商標に識別性がなく、記述的すぎるという理由で、2019年1月に商標登録を拒絶した。指定商品の中で宝飾品とメダルに関しては登録が認めた。

審判請求:不実表示(misrepresentation)
Newbury Healthcapはこの査定を不服として審判請求をした。EUIPOの審判部は2019年11月に再び拒絶の判断を示したが、今回の拒絶理由は誤解を招くとの理由であった。
欧州連合商標規則の第7条(1)(g)は、商標であって,商品又はサービスの性質,品質又は原産地について欺瞞を生じるような性質のもの登録を拒絶理由として規定している。 
商標の文字表現は、保護が求められる商品やサービスに関連して、公衆の認識を評価する際の重要な要素となる。今回の場合、審判部は、「Global Star Registry」という文字表現が公的または準公的な活動、すなわち「グローバルに星を登録する機関」であることを暗示しているとの認識を示したが、出願商標は民間組織のもので、そのような「グローバルに星を登録する機関」は存在しない。
商標出願人は、星に正式な名前を付けることを許可されているわけではなく、それを提供するサービスは単に象徴的なもので経済的価値はゼロである。既存の星に名前を付けること自体は違法ではないが、審判部によると、消費者に星の名前を公的に登録したという印象を与えることは誤解を招くとし、さらに、証明書の発行に関連する商品やサービスに商標が使用されるということが公式で権威ある機関である印象を与える。
審判部は、標識の誤解を招く性質のため、「Mystar Global Star Registry」のEUTM出願は、審判請求された対象の商品・サービスに対して登録を拒絶されるべきであると結論付けた。14類の商品(宝飾品およびメダル)は、審判請求の範囲に含まれていない。
その結果、登録の拒絶査定に対する審判請求は、審査の拒絶理由とは異なる理由で拒絶されたことになる。

本文は こちら (No star power: ‘Mystar Global Star Registry’ fails in trademark appeal)