5月28日、第13回中国全国人民代表大会(全人代)で中華人民共和国民法典(草案)が正式に採択され、2021年1月1日に施行されることにになった。これは中国民法の歴史における画期的な出来事である。
民法典は、総則、物権、契約、人格権、婚姻・家庭、相続、権利侵害責任という7編の計1260条からなっている。知的財産権については独立した章として記載されていないものの民事権利として定められている。
知的財産権侵害に対する懲罰的損害賠償
民法典は、知的財産権の保護を強化し、侵害の代償を増大させるために、侵害が故意に行われ、状況が深刻な場合、侵害された権利者が懲罰的損害賠償を請求できることを規定している。
2013年に改正された中国商標法第63条は、商標権侵害における懲罰的損害賠償を初めて規定した。2019年1月4日に全人代の常設委員会が発表した中国特許法改正案も懲罰的損害賠償を規定し、2019年の不正競争防止法第17条でも懲罰的損害賠償を規定している。また、2020年4月26日に全人代常任委員会が発表した著作権法改正案第53条にも懲罰的損害賠償の規定がある。
最高人民法院は、「知的財産権侵害に対する懲罰的損害賠償について法律の適用における問題に関する解釈」を2021年前半に起草する予定である。
知的財産権侵害紛争への懲罰的損害賠償の導入は、知的財産権の保護を改善し、技術の進歩と革新を促進し、より健全な投資市場を構築するのに役立つもので、民法典の実施は、単なる公民権保護強化の宣言ではなく、新しい時代の幕開けとなるであろう。