1. マドリッド協定議定書への加盟により、これまで商標出願はマレーシア知的財産公社(MyIPO)への直接出願しかできなかったという点で、マレーシアの商標法に大きな変化をもたらした。
2. 2019年の商標法改正により、一出願一区分制の出願が一出願多区分制に変更された。
3. 2019年の商標法改正により、新たな商標として3Dマーク、商品・包装の形状、音、香り、色、ホログラム、位置、動きが保護されるようになり、商標保護の範囲が拡大された。
4. 2019年2月1日施行のマドリッド協定及び同協定の議定書に基づく共通規則の改正に伴い、マレーシアにおける国際商標出願・登録は、複数の出願・登録に分割することができるようになり、また、複数の国際商標出願・登録を併合することができるようになった。
5. マレーシアはマドリッド協定議定書への加盟で、以下の宣言を行った。
i) 議定書第5条(2)(b)に基づき、保護の暫定的拒絶を通知する期間を18か月とする。
ii) 議定書第5条(2)(c)に基づき、18か月の期間の満了後であっても、異議申立てによる暫定的拒絶を通報することができる。
iii) 議定書第8条(7)(a)に基づき、自国を指定する国際出願、国際登録の事後指定及び国際登録の更新について、個別の手数料の支払を受けることを希望し、個別手数料はスイスフランとする(訳者注:出願又は事後指定の場合1区分毎に259スイスフラン、更新の場合1区分毎に236スイスフラン)。
iv) 共通規則第7規則(2)に基づき、出願又は事後指定でマレーシアを指定する事により、マレーシアにおいて商標使用の意思表示を含めることを要求する。
v) 共通規則第20規則の2 (6)(b)に基づき、商標ライセンスの記録を国内法で規定しているが、国際登録簿のライセンスの記録だけでは効力を有しない。
新商標法2019による拒絶理由と権利について
拒絶理由に関しては、「絶対的拒絶理由」と「相対的拒絶理由」に分類された。
「絶対的拒絶理由」は、旧商標法(1976年法)の下の「公衆に誤認若しくは混同を生じさせる虞があるもの、一般的に使用されている用語、中傷的若しくは侮辱的な事項を含むものなど」の登録を禁止する理由に類似する。「絶対的拒絶理由」に関する新たな拒絶理由は、標章が慣例的に使用されている、商取引の善意で確立された慣行である標識で構成されている場合である。
「相対的拒絶理由」は、先行する商標や著名商標と誤認若しくは混同を生じさせる虞がある程に類似する商標の登録を禁止する1976年商標法と類似する。ここでは、未登録商標と著作権法や意匠法に抵触する商標の詐称通用(パッシングオフ)に関する法律に基づくコモンロー上の権利について明確な規定が設けられている。また、登録官は公共の利益及び混同の虞を考慮した上で、先行する競合商標の所有者からの同意書(コンセント)を認めることができる。
その他の改正規則
オフィスアクションへの対応は書面での提出に限定され、これまで利用可能だった一方当事者の聴聞権は削られた。
出願日は方式審査完了時に付与される。
請求があった場合を除き、紙による登録証明書の発行はなくなり、登録官の印鑑を付した通知が電子的に発行される。
登録による効力の確定期間(period of establishing conclusiveness)が5年に短縮された。
本文は こちら (Malaysia joins the Madrid Protocol and has a new Trademarks Act)