税関当局は、サンクトペテルブルクの商事裁判所で、商標「Dr Pepper Est. 1885」のラベルが付いた商品を輸入したロシアの会社Foreign Brandsに対して訴訟を提起した。これは、税関当局が国境管理において模倣品の輸送を疑う場合に行われる日常的な手続きで、そのような場合に商標権者は訴訟への参加を制限される第三者となる。
訴訟でNovargo Inc c/o Rla Distribution Services Corp., USAから商品が発送されたことが明らかにされた。税関当局がロシアにおける商標登録を調べたところ、英国の会社であるEuropean Refreshmentsの名前で登録されたいくつかの商標があり、ノンアルコール飲料を含む32類の商品を指定して登録された商標(登録番号535941、535939、172741)があることが判明した。
税関当局の主張は棄却され、控訴裁判所でも敗訴し、知的財産裁判所(知財裁判所)に上訴した。
知財裁判所は、記録されたすべての文書を調べ、Foreign Brandsがロシアでの販売を目的として「Dr Pepper Est. 1885」というラベルの付いた商品の税関申告をしていたことが分かった。税関申告書には荷送人がNovargo Inc C/O Rla Distribution Services Corp(USA)と記されていた。
税関当局は、European Refreshmentsにノンアルコール飲料を含む32類の商品を指定した「Dr Pepper」について(登録番号535941、535939、172741)の商標を所有していることを通知した。European Refreshmentsは、商標「Dr Pepper」の使用をForeign Brandsに許可しておらず、両社間に何ら契約は存在していなかった。
これまでの裁判所は、米国のForeign Brandsによってロシアに持ち込まれた係争中の商品が、認可された販売者であるRLA Distribution Servicesから購入されたものと認定した。商品には、「Dr Pepper Est. 1885」という商標が付けられていた。商標は外国企業のDr Pepper/Seven Upが国際登録していたが、ロシア連邦では保護されていない。Foreign Brandsが係争中の商品に当該ラベルを付けたものであった。
知財裁判所は、行政違反法(第14.10条「商標の不正使用」)による行政処分は、商標の不正使用または他人の所有する名称に混同するほど類似する結果に起因すると指摘した。上記規定では、商標の不正使用とは商標のラベルを不正に商品に付け、ロシアに輸入することを意味したもので、商標権者の許可なくラベルが付けられた模倣品の輸入から国を保護することを目的としたものだ。知財裁判所は、商品のラベル表示が合法的に行われたかどうかは商品の原産国の法律に依るものとの見解を示した上で、先行する司法慣行を考慮し、行政違反法の規定(第14.10条)は、商標権者によって表示された商品がロシアに輸入され、同様の商標が第三者によってロシアで登録された場合を想定していないと結論付けた。
知財裁判所はさらに、原産国で合法的に商標が付された商品をロシアに輸入することは、同じ商標を他の商標権者によってロシアで所有されていたとしても、行政違反法第14.10条に基づく行政処分を課すことはなく、同じ商標又は混同するほど類似する商標を第三者がロシアで所有していても、輸入された商品が模倣品とは認められないとも結論付けた。
ロシアの商標権者にとって状況は絶望的に見えるが、トンネルの終わりには光がある。鍵は並行輸入に関する民事訴訟にある。数年前に憲法裁判所は、ロシアで並行輸入は許されないとの判断を示した(ユーラシア経済連合でも同様)。ロシアの商標権者は、民事訴訟で同じ商標の外国所有者を訴えることができる。商標権者に有利な結果となった常習的な並行輸入事件があった。このケースはやや珍しく前例もないものだが、類似する事件で通常の並行輸入事件よりも勝つ可能性が高いと合理的に期待できる。
本文は こちら (ADMINISTRATIVE LIABILITY DOES NOT APPLY TO ORIGINAL TRADEMARK DESPITE INFRINGEMENT)