商標を登録することで、指定した商品やサービスに対して、登録したブランドを市場で独占的に使用する権利が与えられる。しかし、これらの権利を維持するためには、商標を使用し続けることが不可欠である。Sandrine Collinが解説する。
商標が使用されていなければ、商標権は取消の申立てを受けやすくなる可能性がある。したがって、登録された商標権の継続的な有効性を確保するために、商標権の喪失につながる脆弱性を特定し、積極的に修正することを含めて、定期的な見直しを行うことが推奨される。
なぜ使用が重要なのか?
EUの商標法は、商標が(登録後の不使用による取消ができない期間「猶予期間」後で)5年間継続して使用されなかった場合、その商標は取消すことできると規定している。言い換えれば、適切に使用されていない商標は、第三者による不使用取消申立ての対象となり、十分な使用証拠を提出できなければ、商標権が取消される可能性がある。
したがって、商標が保護されている域内で、対象となるすべての商品やサービスについて、登録に記載されている態様で、商標が実質的に使用されていることを確認することが非常に重要となる。
避けるべき潜在的な落とし穴
商標権者の使用義務に関しては、共通の問題が多く発生する可能性がある。以下に、これらの問題の概要を解説し、改善策についての助言を提供しているが、個別具体的なアドバイスについてはNovagraafに連絡してほしい。
* 現在商標を使用していないが、どうすればいいか?
- ビジネス上で商標が有効であれば、商標権の効力を維持するために商標の使用を開始するのに遅すぎるということはない。ただし、そのような使用が有効であるためには、真正な使用でなければならないことに注意してほしい。
* 現在商標を使用しているがロゴを変更したが、許容されるか?
- 理論的には、商標は登録された態様で使用されるべきだが、実務上ちょっとした差異は認められる。新旧ロゴを見れば、新たな出願が必要かどうかを判断できる。
* 現在商標を使用しているが今の使用で十分か不安だ。どうすれば確認できるか?
- いかなる場合でも、第三者による申立ての虞から100%安全ということはない。しかし、使用証拠を記録・保管することで対応の準備ができているということができる。一般的に使用証拠には、商標を付した文書、会計帳簿、サンプル、包装、写真などが含まれる。日付があり使用した国が明確であれば、理想的で最強の証拠になることだろう。