2020-09-14

韓国:エルメスバッグを受講生が製作、房運営者に損害賠償責任あり - Kim & Chang

韓国の法院は、革工房の運営者が受講生にエルメスの「バーキンバッグ」「ケリーバッグ」などと同じ形態の模造品の製作方法を教育する行為は不正競争行為であるとして、工房運営者に保管中の副資材などの廃棄および400万ウォンの損害賠償責任があると判決した。

工房運営者であるA氏は2018年からソウルでハンドバッグ製作講座を運営していたが、受講生の募集に際しエルメスバッグと類似のバッグ写真を掲示して、裁断の必要がないDIY KIT革材料を利用して初心者でも簡単に製作することができ、教育に使用する革と副資材は99%以上エルメス製品と同じものであると広報した。受講生は教育終了後、製作したバッグを持ち帰った。
これに対しエルメス社がA氏の行為が不正競争行為に該当するとして訴えを提起し、A氏は製作する物品の選択、製作、使用はいずれも受講生によるものであったと抗弁した。
 
参考に、韓国不正競争防止法2条1項イ目は、「国内に広く認識されている他人の商品であることを表示した標識と同一若しくは類似のものを使用し、又はこのようなものを使用した商品を販売して、他人の商品と混同を生じさせる行為」を不正競争行為の中の一つと定義している。
 
このような双方の主張に対し法院は、エルメスバッグの形態が特定人の出所表示として識別力を備えた、不競法によって保護されることができる商品標識に該当すると前提した後、A氏の教育行為は直接エルメスバッグの商品形態などを「使用」したことに該当するだけでなく、教育行為によって製作された製品はエルメスと出所が同一であると誤認させるおそれがあるため混同行為にも該当すると判示した。
 
また、A氏が直接製造・販売した事実がなく、たとえ製品の直接的な製作主体が受講生であるとしても、A氏は自身の能動的な支配・管理の下で受講生をしてエルメス製品と同じ形態の製品を製作させることにより実際のエルメスバッグの商品形態および標章と同一の製品を製造・販売したものとみなすべきであると判断した。