2020-10-19

財務の専門家向け、知的財産の価値を最大化する方法 - Novagraaf

先日、国際的な評価サービス会社TPA Globalが開催したウェビナーで、NovagraafのMonique GrannemanとFranc Enghardtが知財価値を最大化するためのアドバイスを行った。以下にその時の内容を概説する。

企業グループ内の知財構成をどのように改善するかは、アムステルダムに本社を置くTPA Globalの税務・知財・評価の専門家からよく質問されるが、TPA Globalは、このテーマに関するベストプラクティスのアドバイスを共有するため、9月にNovagraafのMonique GrannemanとFranc Enghardtを講師に、知財価値の最大化についてのウェビナーを開催した(録画は こちら)。

知的財産と金融資産:貴重な関係
現在、知的財産やグッドウィルなどの無形資産が有形資産(固定資産、設備、在庫など)に取って代わり、企業価値の80%以上を占めることが多く、ビジネス成功の重要な原動力となってきたが、あまり知られていないのは、企業がこれらの資産の価値創造と収益化に費やす時間があまりに少なく、IPポートフォリオ管理のおよそ9.5%しかないということだ。
Monique Grannemanは、プレゼンテーションで「かつて知財は主に法律やマーケティングの専門家のテーマだったが、最近では財務や価値といった話が増えてきており、これには投資の観点からの予算と、評価、ライセンス、売却/M&Aなどの価値評価の両方が含まれる。 
しかし、知的財産権の価値を評価する際に見落とされがちなのは、権利が有効かどうかを確認することだ。例えば、知的財産は適切に登録・使用されているか?、所有権の移転登記は正しく最新であるか?、関心のあるすべての市場や地域はカバーされているか?、法的措置を受けた商標があるか?、商標は適切に維持・管理されているか?、など。
これらを確認しないリスクは、価値が損なわれたり失われたりした資産に価値があると思い込んでしまうことだ。

戦略を導く仕組み
知的財産のデューデリジェンスで問われる質問は、商標サイクルの初期も同様に、権利を登録する際の意思決定の参考になるはずだと、Moniqueは述べている。
商標登録戦略を練る上でも、知財ポートフォリオを監査する上でも、考慮すべき重要な4つの要素がある。Novagraafは、これらを「4W」と呼んでいる。

Who:誰の名義で登録されるか?例えば、グループ内の知財管理会社が所有すべきか、商標を使用する事業部が所有するべきか。
What:ブランドが最もよく保護できるのはどのようなタイプの権利だろうか?例えば、文字商標、図形商標、結合商標などを登録すべきか、また、スローガン、マルチメディア、形状、匂いや音などを権利化してブランド資産として保護するのはどうか。
Where:どの国や地域で登録を受けるべきだろうか?例えば、どこで商標を使用するのか、商標を付した製品をどこで生産するかなど。
What for:現在または将来、どのような商品やサービスを保護するために登録すべきか?ポートフォリオに漏れはないか?

知的財産の注目度を上げる
しかし、評価は一回限りの活動と考えるべきではなく、財務と知財の専門家は、知財管理のライフサイクルの一部として次のことを確認すべきであろう。「企業は知財のコスト・利益・投資収益率(ROI)を把握しているか?、ROIを向上させるためにどのようなアクションを取る必要があるのかが明確になっているか?、知財ポートフォリオは知的財産の買収によって強化することができるか?、知財戦略及び知財の費用と利益について取締役会レベルで定期的に見直されているか?、など」。

知財はこれまでコスト・センターと考えられてきた。しかし、取得にはお金がかかるものの、ライセンスや資産売却などを通じて収入を得ることもできる。また、企業のバランスシート上では資産としての価値もある。ただ、プレゼンテーションでFranc Enghardtが指摘したように、価値を評価する際には、「相手がいくら支払う用意があるか」という問題の方が一般的となる。
とはいえ、登録、維持、権利行使のために必要な予算を獲得するために、財務と知財の専門家が協力して知財の価値を評価する必要がある。Moniqueの説明のとおり、「まとまりのないポートフォリオは、管理/維持に無駄な費用がかかる可能性が高い。故に、毎回新しいブランドを立ち上げるのではなく、予算化や評価の際に「不要な」ブランドや地域を整理し、使われていないブランドの再配置を検討する機会とすべきである。」
理想的には、自社の知的財産ポートフォリオや正しい判断を下すための必要なデータに簡単にアクセスするために、知的財産管理が一元化されていた方がよい。

よくある落とし穴と回避策
知的財産権チームの削減が迫られているなら、いくつかの潜在的な落とし穴に注意することも重要だとMoniqueは付け加えた。

* 現在第三者に使用許諾している商標の放棄
* 意思決定プロセスにブランドマネージャーを関与させていない、特に放棄時
* 現在進行中の訴訟などで依拠している商標を失効させない – 問題解決に至るまで商標の有効性を保持すべき
* 売却や債務の担保を通じて収益を得ることのできるポートフォリオの一部を放棄
* 長期的な戦略ではなく、現時点の予算など短期的な考えで意思決定を行うことで、発展途上の市場における権利保護や維持に影響を与える可能性

「商標の更新費用は通常10年ごとに発生するため、比較的簡単に予測できるはずだ」とMoniqueは強調している。予測によって、どの権利を保持し、どの権利を削減すべきかを検討するための時間を得ることができ、特に困難な時期や今回のようなパンデミックで不測の事態が発生した場合でも、咄嗟な対応を避けることができる。

効果的な方策
プレゼンテーションの最後に行われた質疑応答では、出席者から商標のベストプラクティスに関する興味深い質問が多数出された。その中には、保護を得ることが困難であったり、法外なコストがかかったりする場合、企業は戦略上、特定の地域を避けるべきかどうかという質問もあった。ここでFrancは、企業が一度の出願登録で複数の国に亘る法域で貴重な商標権をコスト効率よく保護できる商標の国際登録制度が果たす重要な役割を強調した。
また、「企業がある国で活動している場合、商標保護を取得しない場合のコストは、権利を登録するための費用よりもはるかに高くなる可能性が高いため、理想的には、商品の販売、販売、輸送を開始する前に、必要な登録を済ませておくべきだ。」ともFrancは述べている。

しかし、権利行使となると費用対効果の関係は微妙になることが多いとFrancは付け加えた。「例えば、訴訟費用は高額になる可能性があり、司法手続きに進むことを決定する前に、費用対効果のより高いオプションを検討するため、商標弁護士の助言を得るべきだろう。
これには、新しい商標出願の異議申立期間内に適切な対応を取れるように商標ウォッチングなどの侵害行為を迅速に特定するための手段などが含まれる。また、オンライン上での侵害行為については、監視結果から推奨される権利行使に結び付け、一括の権利行使を容易にしてコストをさらに削減する自動化サービスの利用(NovagraafのOnline Brand Protection Serviceなど)も検討に値しよう。

本文は こちら (Maximising IP value: A short guide for finance professionals)