「商標」には、音商標、匂いの商標、立体商標、色彩商標などの非伝統的な商標も含まれているが、原則として、自己の商品・サービスを他者のものと区別することができるものでなければならない。非伝統的商標の中で最も新しいものは「店舗レイアウトの商標」で、これは顧客に商品・サービスを提供する事業者の店舗・小売店のレイアウトだ。家具、照明、壁の形状、デザイン、配色などのユニークな配置を含めることができる。
ムンバイにあるタージマハールホテルやボンベイ証券取引所は、他の事業者が無許可で構造物の画像を悪用できないように、構造物全体の建築デザインを商標として登録した。しかし、店舗やアウトレットのユニークな内装についても同様の保護を認める必要がある。店舗レイアウトの商標登録の必要性は、特にショッピングモール内にある店舗の場合大きい。消費者は、店舗のレイアウトからそのブランドを連想する。例えば、店舗の外の看板を見なくても、マクドナルドの店舗なのか、ナチュラルアイスクリームの店舗なのか、大抵の場合、認識することができる。現在までインドで店舗レイアウトに関する商標登録を争った判例はないが、アップルの店舗レイアウトを立体商標として登録することを認めた欧州連合司法裁判所(以下「CJEU」)の判例(Apple Inc 対 Deutsches Patent- und Markenamt (C-421/13))を参考にすることができる。CJEUは、店舗レイアウトにはアップル社の店舗に固有の特徴があり、店舗レイアウトのデザインがユニーク且つ識別可能で、そこで提供される商品及びサービスは、アップル社とのみ関連付けることができるとの判断を下した。
インドでは、店舗レイアウトを図形商標として出願しても平面デザインの保護にしかならないため、立体商標として出願することができる。しかし、店舗レイアウトの商標は、非伝統的商標に関するRalf Siekman基準に従って明確に示すことが重要である。店舗レイアウト商標の多くは、商標法第9条(1)項(a)(登録拒絶の絶対的理由)の識別性を欠く商標として登録を拒絶されているようだが、これらは、店舗の特徴や所有者が提供する商品やサービスとの関連性を説明することで克服することができるはずだ。