SFM LLC(以下「SFM」)は、2002年から商標「SPROUTS」のブランド名で小売食料品店を所有・運営している。Corcamore LLC(以下「Corcamore」)は、2008年から自動販売機サービスに関する「SPROUTS」商標を登録し保有している。
SFMは、Corcamoreの「SPROUT」商標が自社の登録商標と混同を生じる虞があるとして、「SPROUT」商標の登録を取り消すよう、米国特許商標庁の商標審判部(以下「TTAB」)に申請した。手続きの過程で、TTABは、Corcamoreが暫定命令(interim orders)/制裁命令(sanction orders)に何度も違反しながら、本件とは無関係なものも含め多数の申し立てを行っていることを確認した。TTABは、制裁命令としてCorcamoreの商標登録を取り消した。
Corcamoreは、商標登録が取り消されたことを不服として、連邦巡回区控訴裁判所に控訴した。Corcamoreは、SFMにはCorcamoreの商標登録の取消しを申請する資格がなく、また制裁として商標登録を取消しについて、TTABはその裁量権を濫用したと主張した。
SFMがCorcamoreに対する取消しを申請する権利を有しているかどうかについて、裁判所はLexmarkとEmpresa Cubanaの枠組みを適応し、権利は原告の「利益の範囲(zone of interest)」または「実質的な利益(real interest)」に依存するとし、原告の訴えを棄却する前に、裁判所は原告の「利益」が法の意図と矛盾していないかどうかを確認する必要があるとの判断を示した。裁判所はさらに踏み込んで、原告の取消請求を裏付けるには、原告の正当な商業的利益があるべきだとの見解を示した。
裁判所は、SFMの商標「SPROUTS」とCorcamoreの商標「SPROUTS」とが消費者に混同を生じさせるというSFM社の主張は、取消の「真の利益」を正当化するために十分であり、このことは、両当事者が取り扱う商品・サービスが類似しているという事実によって、さらに強化されている。したがって、SFMは取消を申請する権利を有していると判断した。
第二の問題は、TTABが手続中のCorcamoreの非協力的な行動に対する制裁として、商標の登録を取り消す際にその裁量権を濫用したかどうかについて、巡回裁判所は、CorcamoreがTTABの命令に従わず、TTABの口頭審理に出頭せず、また、応答にも応じなかったため、手続中の紛争を解決するための誠実な努力を怠ったことを考慮して、TTABは、商標の登録を取り消す際にその権限を濫用したものではないと判断した。
連邦巡回控訴裁判所は、判決で次のように述べている。「TTABは、Corcamoreが故意に悪意に満ちた戦術をとり、SFMの遂行努力を挫き、TTABのリソースを浪費したことを認識した。それゆえに、連邦巡回裁判所はCorcamoreに対して欠席裁判で、Corcamoreの登録商標の「取消」を命じる判決を下した。」
本文は こちら (Cancellation of trademark as a sanction against defendant)