2020-12-14

韓国:特許法院「SK-Ⅱ化粧品の成分名“ピテラ”を医療業に模倣登録した商標は無効」 - Kim & Chang

このたび韓国の特許法院で、The Procter & Gamble Company (以下「P&G」)の有名化粧品ブランド「SK-Ⅱ」の酵母抽出液成分名として知られている「ピテラ」および「PITERA」商標の周知性を認め、医療業等に登録された「ピテラレーザー」商標の登録を無効とする判決が出され注目を集めている(特許法院2020年11月13日言渡し2020ホ3843判決 – 確定)。

先使用商標「ピテラ」「PITERA」はSK-IIの様々な製品に含まれている酵母発酵代謝液成分の名称であり、商標として多様なSK-II製品およびその広告に共に使われてきた。一方、被告は「皮膚科業、美容整形外科業、医療業、健康診断業、外科業」などの44類の多様な医療サービス業に「ピテラレーザー」という商標の登録を受け、これに対し原告P&G側は無効審判を請求した。
 
特許審判院では、化粧品と経済的牽連性がある「皮膚科業、美容整形外科業等」については類似性を認めその登録を無効としたものの、「医療業、健康診断業、外科業等」のその他役務(以下「医療業等」)は類似役務と認められないとし、「SK-Ⅱ」商標とともに使われた先使用商標「ピテラ」「PITERA」がそれ自体で特定人の商標として広く認識されているとはいえないとして無効請求を棄却した。
 
しかし特許法院は、先使用商標が大部分「SK-Ⅱ」とともに使われ、英文字とローマ数字とがハイフン(-)で連結された前部「SK-Ⅱ」と、一般的なハングルおよび英語単語と認識される後部「ピテラ」および「PITERA」は外観上互いに明確に対比されるので、「SK-Ⅱ」商標とともに使われた先使用商標に関する資料(売上額、広告費、マスコミ報道など)も周知性判断資料として使用することができるとし先使用商標の周知性を認めた。また、化粧品と医療業等は用途および需要者の範囲が共通するという点、化粧品と類似の役務である皮膚科業等が医療業等に含まれるという点、一部の医院では美容目的の診療をすることもあるという点を挙げ、化粧品と医療業等との間の経済的牽連関係も認めた。
 
結局、被告の登録商標は、①一般需要者をして商品出所の誤認・混同を生じさせ需要者を欺瞞するおそれがあり、②不正の目的で先使用商標を模倣して出願した商標であるため登録が無効にされるべきである旨の判決が言い渡され、被告側が不服を申し立てず判決が確定した。
 
今回の判決は、化粧品のパッケージや広告などに共に使われる成分名商標の周知性判断において、化粧品の諸般の周知著名資料を成分名の周知性資料として援用できることを認めた点と、化粧品と医療業等との間の経済的牽連関係を幅広く認めた点で意味が大きいといえよう。