2021-01-28

インド:「FACEBAKE」に対する訴訟でフェイスブックが勝利 - Chadha & Chadha

はじめに
 米国フェイスブック(Facebook:原告)対 Mr. Noufel Malol(被告)事件において、デリー高等裁判所は、原告に暫定的な救済を認め、被告がケーキ、ビスケット、クッキー等の菓子類の販売に「FACEBAKE」の標章を使用したことは、周知商標「FACEBOOK」に関する原告の権利を侵害するとの判決を下した。

判決内容
 原告は、被告の標章「FACEBAKE」とウェブサイト www.facebake.in の使用が、周知商標「FACEBOOK」の名声を害し、商品の出所について公衆の混同を引き起こしていると主張した。裁判所は、原告の主張を認め差止命令を発した。この差止命令では、「f」の文字で表されるロゴにも適用されたことは注目すべきであろう。
 裁判所は、判決で「原告の商標「FACEBOOK」が世界中に知られている事実を考えて比較衡量しても原告有利と考えられる」と述べ、被告のパン屋、その従業員及び代理人は、原告商標と欺瞞的に類似する「FACEBAKE」を含む標章の使用を制限された。

周知商標
 今回の判決は、あらゆる商品・サービスの分野を超えて、ビジネスが全く異なる場合でも商標の保護が認められた例で、「FACEBOOK」のような著名な標章は、その著名性ゆえに脆弱になる可能性があるため、このような保護を付与する必要があると主張する人もいるだろう。
 1999年商標法は、周知商標を「当該商品を使用し又は当該サービスを受ける公衆の実質的大部分に周知となっている標章であって,他の商品又はサービスに関する当該標章の使用が,それら商品又はサービスと,最初に述べた商品又はサービスに関して当該標章を使用する者との間の取引過程若しくはサービス提供過程における結合関係を表示するものと考えられる虞がある標章をいう」と定義している。したがって、周知商標は国境や商品・サービスの分類を越えて保護される。
 インドの法規では、周知商標が十分に保護されており、2017年商標規則124では、商標権者が様式TM-Mを用いて登録官に商標が周知であると決定するよう請求することを認めている。さらに、1999年商標法第11条(2)で、著名商標はすべての商品・サービスで保護されるべきであると認めている。
 商標は、その高い評判と継続的かつ広範な使用の結果、著名な地位を得ることができる。独BMW(原告)と「DMW」を運営するインドのOm Balajee Automobile (India) Private Limited(被告)の裁判で、デリー高等裁判所は、類似性のない商品であっても、周知商標と欺瞞的に類似する標章を採用することは商標権侵害に該当すると認定し、原告の商標「BMW」が周知であることを理由に、被告標章「DMW」の使用を差し止めた。

結論
 周知商標は、インド商標法の下で特別な権利であり、それに応じた保護が与えられる。したがって、デリー高等裁判所は、上記の「FACEBAKE」と「FACEBOOK」事件の判決において、フェイスブックの周知性と商標権が保護されることを確実にした。

本文は こちら (Delhi High Court restrains bakery from using the mark “FACEBAKE” in a suit filed by Facebook)