2021-01-19

韓国:2021年から変更された商標・デザイン関連制度のご案内 - Kim & Chang

韓国では2021年に入り、商標・デザイン関連制度の一部が新たに改正された。
特に、まだ韓国でデザイン出願ができない建物の内装・外観のトレードドレスに関する商標出願審査の基準が新たに整備されたほか、ソフトウェアの類否判断に関する基準が変更されたことに照らし、建物の内装・外観については韓国での商標登録を、そしてソフトウェア関連の商標/サービスマークについては韓国での権利状況の再点検をそれぞれ検討してみることが考えられる。
改正の主な内容は次のとおりである。
 
懲罰的損害賠償の実施など
・不正競争防止法上のアイディア侵害禁止に違反した行為に対しても「3倍賠償制度」を適用
・商標法、デザイン保護法、不正競争防止法上の損害賠償額の算定方式を改善し、権利者の生産能力を超える販売量に対しても損害賠償が可能に
・不正競争行為に対する是正勧告に従わない場合、不正競争行為に違反した事実を官報等に公表
 
出願人の便宜改善
・すでに施行されている商標モバイル出願に続き、特許・実用新案・デザインもモバイル出願可能に
・新しい類型の商標と動作・色彩商標など既存の非典型商標に関する審査細部基準が策定され、立体・位置商標の図面提出件数が緩和
一括審査申請対象が拡大し、その要件が緩和
デザイン一部審査制度の対象物品類を食品、雑貨類、包装容器、宝石・装身具類などに拡大適用

商標審査基準の改正内容(要旨)
(1) 不登録要件の審査強化
・著名な他人の承諾事項の審査時、出願を許諾した事実と、未成年者の承諾書に対する法定代理人の同意有無の確認手続きを設定
・使用による識別力取得商標と先登録・出願商標などとの類似判断基準を整備
・特定国家の国旗が含まれた商標が、当該国家と関連があるものと消費者を誤認させるおそれがある場合、品質誤認等により拒絶
 
(2) 地理的表示および地理的表示団体標章の審査事項の整備
・韓英FTAの発効(‘21.1.1)にともなう保護対象地理的表示の目録反映
・地理的表示団体標章の指定商品の登録は実際に地理的特性などが認められる商品に限ることを明示
 
(3) 非典型商標の機能性審査強化および保護範囲拡大
・特許で保護されるべき要素が商標権によって無期限に保護されることがないよう、非典型商標の特性に対する機能性審査の手続きを強化
・主な判断要素を中心に構成し、非典型商標の審査時に実質的な指針として活用できるよう改編
・主な判断要素は(a)特許・実用新案の存否、(b)製品の機能に対する広告、(c)代替可能な他の形状の存否、(d)代替可能な形状の製造容易性および経済性など
立体、位置、色彩商標等の識別力および機能性有無の判断基準を先進国と調和するように改編
建物の内装・外観(営業場所)および商品の特定の位置に使われた色彩を非典型商標の一類型と認め、出願人の権利保護を強化

(4) 外国語商標に対する審査強化
・中国語(簡体字)を文字商標として取り扱うなど外国語商標の審査基準を整備
 
(5) その他
・「称呼」と「呼称」の混用 ➔「呼称」に用語を一元化
 
ソフトウェアなど商品審査基準の改正内容
(1) 類似商品審査基準の改正を通してソフトウェア商品および商品・役務間の類似判断範囲を調整
・G390802(第9類ソフトウェア)は類似群コードが同一でも比較の対象となる商品の特性により個別に判断
・G390802(第9類ソフトウェア)商品と第35類~第45類に属する役務間の同一・類否は商品と役務の用途が一致するか否かに特に重点をおき、諸般事項を総合的に考慮して判断
 
(2) ソフトウェア商品を細目化し、関連役務(42類)の類似群コードを細分化
・第9類ソフトウェア商品は用途によりシステム/応用/ゲームソフトに細目化し(例:コンピュータ運営システムソフトウェア、ビデオゲーム ソフトウェアなど)、用途が不明確な包括商品(例:コンピュータソフトウェア、コンピュータプログラムなど)は告示名称から削除
・第42類の複数類似群コード(S1233, G390802)が付与されていた役務をそれぞれソフトウェア分野とハードウェア分野とに分け、ソフトウェア関連役務にのみ複数類似群コード(S123301, G390802)を付与し、ハードウェア関連役務には単一類似群コード(S123302)を付与