ハーグ地方裁判所は今年2月、有名なイギリスのシューズブランド、ドクターマーチン(DR. MARTENS)のブーツのウェルト部分(靴の底と甲との継ぎ目革)にある象徴的な黄色のステッチを商標として認める判決を下した。そして、Van Haren靴店が同様のステッチを施した自社ブランドのレースアップブーツ(LACE UP BOOTS)がドクターマーチンの商標権を侵害したと判じた。正確には、ドクターマーチンの黄色のステッチから成る位置商標を侵害したということだ。
位置商標という法律概念は比較的に新しいものだが、それが意味するところは、少なくともリーバイス・ジーンズのバックポケットの赤いタグと同じくらい古いものである。位置商標は、「標章を製品上の特定の位置に配置されている」商標で、ブランドを特徴づける製品の要素だ。例えば、リーバイスの赤いタグ、ルブタンの赤いソールなどがあげられる。
しかし、そのような要素がすべて有効な商標となるわけではない。例えば、ティファールの調理器具にある人目を引く「赤色の円」には技術的な用途があり、適温を知らせるために使用されていたため出所表示として認識されないとして商標登録を拒絶された。
今回のドクターマーチンの商標事件では、ブーツのウェルト部分にあるの黄色のステッチは確かに独自の識別力を有しており、有効な商標として構成されていると裁判所に認められた。さらに、多くの記事や出版物で「黄色のステッチ」を一般の人々がドクターマーチンの大きな特徴と捉えていることを示している。例えば、Elle誌では「象徴的な黄色のステッチ」と紹介され、主要なオランダの新聞では「一目でわかる」と報道されている。このような観点から同様のステッチを施したVan Haren靴店のレースアップブーツは、ドクターマーチンの商標と混同が生じる虞が高いと判断され、侵害が認められた。
本文は こちら (The typical yellow stitching of Dr. Martens)