案件の概要:
米国デュラセル社はハイパワータイプのアルカリ電池を製造販売する世界のトップ企業である。1964年に世界で「DURACELL」の商標使用を開始し、1973年からブロンズと黒の組合せの商標の使用を開始し、1993年から中国市場に参入した。デュラセル社は法に基づき「DURACELL」商標、「(下図1)」色彩を特定する商標、「(下図2)」色彩の組合せを特定する商標、および「(下図3)」色彩の組合せ商標の商標権を有し、使用を認められた商品は第9類「電池」などである。
被疑権利侵害者が販売する電池はブロンズと黒の色彩の組合せを電池の外装として使用し、またブロンズと黒の使用位置(正極3分の1の面積をブロンズ、負極3分の2の面積を黒)、割合(約1:2)がデュラセル社の色彩の組合せ方の商標とほぼ一致している。このほか、係争電池は黒の部分に白地で「POWERCELL」の商標およびその他の説明を表示している。
集佳はデュラセル社の委任を受け、調査を経て証拠を取得し、浙江省義烏市人民法院に提訴した。
法院の判決:
浙江省義烏市人民法院は審理後、次のように認定した。
デュラセル社の色彩の組合せ商標は中国で登録されている「DURACELL」、「金覇王」、「金能量」などの商標の組合せとともに強い識別性と高い知名度をすでに得ており、消費者に知られ、消費者が電池の色の組合わせの特徴に基づきデュラセル社の電池を他社が製造する商品と区別することができる。被疑権利侵害電池の外装の主要部分は真鍮色と黒であり、割合も約1:2であり、また被疑権利侵害電池およびその外装に「POWERCELL」の表示を使用し、関連消費者が商品の生産者について誤解しやすく、または両者に特定の関係が存在すると思わせ、デュラセル社の上記商標権を侵害した。
典型事例の意義:
色彩の組合せ商標は2種類以上の色彩が一定の割合、一定の配置順序に基づき構成される商標である。色彩のみからなる商標はその他従来の類型の商標と比較してその固有の識別性が弱い。一般的な状況においては色彩の組合せ商標は長期間使用されて初めて顕著な特徴となる。この案件において、デュラセル社はまた係争の色彩の組合せ商標が長期間大量に使用され、広告宣伝および販売促進を行い、デュラセル社のみを示すようになっていることについて、十分な証拠を提供して証明した。法院はその色彩の組合せがすでに業界内で一般的な包装外装となっているという被告の反対意見を認めなかった。この案件も色彩の組合せ商標権者が類似の権利保護案件を処理するための参考となる。
本文は こちら (集佳中国知財情報 No.174)