2021-04-28

カナダ:マクドナルドは「Mc」を独占できるのか? - R. K. Dewan & Co.

マクドナルドは誰もが知る世界的に有名なファストフードチェーンで、販売するほぼすべての商品に「Mc」という接頭語を使用している。しかし、それはマクドナルド社が接頭辞「Mc」を所有していることを意味するのだろうか?

マクドナルド社、マクドナルド・レストランズ・オブ・カナダとHi-Star Franchise Systems, Inc.(以下、Hi-Star社)の事件では、小規模な不動産・住宅ローンサービス業者であるHi-Star社が出願した「McMORTGAGE」商標に対してマクドナルド社がカナダの商標異議委員会に異議を申立てた。

2016年、Hi-Star社は、「クレジット、ローン、保険、両替、トラベラーズチェックの引受と提供、斡旋、保険仲介、保険サービス、住宅ローン仲介、住宅ローンの借換え、住宅ローンサービス、不動産斡旋、不動産仲介業、不動産仲介」といったサービスを指定して、「McMORTGAGE」商標をカナダ知的財産局(CIPO)に出願した。

マクドナルド社は、2017年に以下の理由に基づいて異議を申立てた。
1. 出願商標「McMORTGAGE」は、マクドナルドの商標と混同が生じるほど類似する
2. Hi-Star社が「McMORTGAGE」という類似商標を使用することは、マクドナルド・ファミリーの商標の(確立された)信用を低下させる

マクドナルド社は、「McGrill」、「McSwirl」、「McPuff」、「McChicken」、「McVeggie」など、販売するほぼすべての商品に「Mc」という接頭語を使用しており、「McDonald’s(マクドナルド)」の接頭辞「Mc」を広範囲に使用しているため、本願商標「McMORTGAGE」に「Mc」の要素が存在することは、消費者を欺くことになる可能性が高いと主張した。

カナダ商標異議委員会(以下「委員会」)は、マクドナルド社を支持し、「McMORTGAGE」を見た消費者は、第一印象として、この商標がマクドナルド社のフランチャイズ用に提供される金融サービスを示すものと信じたり、出願商標に指定されたサービスがマクドナルド社と提携または関連していると信じたりする可能性があると結論づけた。 

カナダ商標法の第22条(1)には、「何人も,他人が登録した商標を,それに伴う営業権の価値を毀損する効果を有する虞のある方法で使用してはならない」と規定されており、委員会はこの条文に違反するとの判断を示した。

委員会は、マクドナルド社がHi-Star社による「McMORTGAGE」商標の使用が同社の信用を毀損させることを示す明白な事実(prima facie case)として確立したかどうかを検討し、商標法第22条の4つの要件を示した。
* Hi-Star社の商標「McMORTGAGE」は、「相手の商標の一つとして理解されるほど、相手の商標に類似している」。
* マクドナルド社の商標は十分に知られている。カナダ全土でMC接頭辞付きの商標を広範囲に使用していることが証明されている。
* 2つの商標は作りが似ており、マクドナルド・ファミリーの商標に広範な信用があるため、消費者の心の中で2つの商標の間に認知的な関連性が生じると思料される。
* 「McMORTGAGE」の使用は、マクドナルドのブランド力と信用を毀損させる可能性がある。

委員会は、Hi-Star社が「McMORTGAGE」商標を採用し使用したことについて、マクドナルドの評判を利用する以外に明らかな理由がないように思われるとの見解を示した。そして、Hi-Star社の商標は登録を拒絶された。

本文は こちら (Does McDonald’s own the prefix “Mc” in Canada?)