2021年3月26日、CNIPAは商標の審判・審理に関する電子データ証拠の研究報告書を発表した。本研究は、2020年に商標局により始動され、商標の審判・審理プロセスに関する電子データ証拠の挙証・認証困難など問題点を解決するために、中国人民大学法学院と提携して行われた。
研究成果として、「商標の審判・審理事件に関する電子データ証拠のガイダンス」が発表され、特に電子データ証拠の取得、挙証、尋問等に関する内容が審査官に参考基準を提供し、さらに、これから公布される「商標の審判・審理事件に関する電子データ証拠の規則」の制定に対して根拠を提供した。商標権利者にとっても通常の商標関連証拠の保存・収集の仕方ガイダンスとして参考可能。以下は研究内容・結果について簡単に紹介する。
電子データ証拠の一般形式として下記各号を含めるが、それらに限らず情報・電子書類を指す。
1)ウエブサイト、SNSアカウント、ブログ等のウエブプラットフォームで発表された内容;
2)E-mail、即時通信等のウエブサービスによる通信内容;
3)ユーザー情報、電子サイン等の身分識別情報;
4)電子商の販売記録、売上等の取引情報;
5)ウエブサイト、スクリーンショット、ドメイン、デジタル画像などの電子書類;
6)ウエブ検索結果、サーチエンジンの記録、ウエブ訪問者数などの統計情報。
電子データ証拠の取得
* 当事者は検索、ダウンロード、複写、写真、録画等の方法で自ら証拠を取得する
* 電子ファイルの作成と管理を通して証拠を取得する
* 公証機関による公証保全、又は司法鑑定人による鑑定書の作成によって取得する
* 第三者プラットフォームで保存された証拠を取得する
* 司法機関又は行政機関が事件処理のプロセスで取得した電子データを証拠として利用する
* 海外又は香港・マカオ・台湾地域で形成された証拠を、状況により公証・認証した上で利用する
電子データ証拠の挙証方法
当事者は以下の方法を利用して電子データを提出することができる。
1)作成者、作成時間、情報源等を明記した電子出力データおよび証拠取得時の画像、録画、ビデオ等
2)次の修正防止手段で保存された電子データ:
電子署名、信憑的なタイムスタンプ、完全性チェック、ブロックチェーン、電子透かし等
3)法律規定に合うその他の方法
審査においての認定基準と原則
商標審査官は事件の事実と争点を巡って、電子データの真実性、完全性、関連性および合法性を審査するとともに、電子データおよび関連証拠に関する証明力の有無および証明力の大きさについて判断すべき。
真実性は電子データの生成プロセス、管理方法、保存・転送の方法、取得の主体・手段・プロセス、当事者との利害関係等から判断または推定することができる。
完全性は電子データの収集・取得プロセスの記録・録画、完全性チャック、バックアップとの比較などの方法を通して判断される。
関連性は電子データと事実関係との関連性、異なる証拠の間の関係等から判断される。
合法性は主に電子データの収集・取得プロセスに対して審査を行う。
証明力の有無は各電子データがロジックに繋がれるか否か、且つ事件事実を証明できる完全な証拠チェーンになれるか否かについて審査を行う。
証明力の大きさは各種の電子データに関する取得方法、類型、数、情報源、影響範囲等の点から、その優先順位によって審査を行う。
(リソース:中国商標局)