アメリカやカナダでは、マリファナやマリファナ関連製品の合法的な市場が活況を呈しているが、違法な市場が合法的な市場になると、調整が必要な問題が起こりやすくなる。商標に関してもその一つだ。
違法な市場では、禁止物質の販売者は知的財産権にそれほど関心がなく、違法薬物「エクスタシー」の製造者は、自分たちが認識できるロゴを錠剤に押し込むことが多い。それは自社のロゴではなく、テスラ、三菱、スターバックス、スーパーマンなどのロゴだ。それに対して、住所や商工会議所の登録がないため、警告書を送ることは困難だ。違法なマリファナビジネスでは、有名なブランドを参考にすることも珍しくない。例えば、比較的よく知られている「アディハッシュ」のロゴのパロディなどがそうだ。
マリファナの合法化
米国の多くの州でマリファナが合法化されたことにより、商標の権利行使が俄然容易になってきた。商標権者は、同一または類似の商標を使用するメーカーや販売者に効果的に対応できるようになった。
例えば、マース・リグレー社は、米国とカナダで同社の商標である「スキットルズ(Skittles)」、「スターバースト(Starburst)」、「ライフセーバーズ(Life Savers)」が、ほぼ同一のパッケージでマリファナ関連商品に使用されていることに異議を唱えた。マリファナ「Zkittlez」の使用者に対して商標権侵害の差止命令も出された。
「薬用スキットルズ(Medicated Skittles)」に対して、マース・リグリー社が勝訴することは間違いないだろう。侵害は極めて明白であり、さらに強力な論拠は危険なものと混同を引き起こす虞があることが挙げられる。子供たちのパーティーで「薬用スキットルズ」を誤って配ってしまうことは、親にとっては良心の呵責に耐えられないことだろうから。