2021-06-02

新しいブランドの世界を形成する?NFT(非代替性トークン) - Knijff Trademark Attorneys

暗号通貨、NFT、ブロックチェーン技術などについて、すでにお聞き及びのことと思うが、これらはエキサイティングで、これまでとは違う変化をもたらしている。この動きはブランドオーナー(および知的財産全般)にどのような影響があるのだろうか?ここではNFTに焦点を当ててみる。

NFTとは何か?
NFTは、Non-fungible token(訳者注*)の略で、ファイル(またはファイルの一部)を表すただ一つだけのデジタルコピーである。受け取るのはブロックチェーン(電子的帳簿)に保存される固有のデータだ。したがって、NFTは常に取り出すことができる唯一無二なものとなる。 
例えば、100枚限定のシルクスクリーン(版画)とアート作品固有のNFTとを関連付けることができ、NFTはデジタルデータとして保存される。NFTで権利を買うわけではないことは理解しておいた方がいい。芸術作品の著作権は製作者にあり、これはもちろんシルクスクリーンでも変わりない。

どんなものに応用できるか?
最近のニュースでは、世界的に有名なクリエイターBeeple氏のデジタルアート(クリスティーズでオークション)、Twitter創業者の出品した初ツイート、短いスポーツ映像(NBA)、キングス・オブ・レオン(Kings of Leon)のニューアルバムなどがあり、様々な応用が考えられる。デジタルアート作品をデジタル市場へ:ローリングストーンズの実物Tシャツに加えて、近い将来、自分のアバター用に独創的なデジタルTシャツを購入するようになるかもしれない。あるいは、着メロのNFTも…。NFTの価値はその希少性と需要によって決まってくる。

NFTと知的財産法
問題はNFTを発行する権利はどのように与えられるかということになる。芸術作品の創作者として基本的な権利は明確で、創作者はその著作物の権利者となる。しかし、世界史上重要なデータとして存在する物のNFTや、ゴッホのNFTは疑った方がいいかもしれない。どこの誰が発行したかもしれないそんなものには価値がないだろう。結局のところ、誰でもこのようなNFTを発行できてしまうから…。

NFTと商標
商標は、商品やサービスを他の商標と区別するもので、個別のNFTを含む特定の商品の出所を示すものだ。上記に示したように、出所はNFTがオリジナルの出所からのものであるかどうかを知るために非常に重要となる。そして、そのNFTに価値があるかどうか。だからこそ、アーティストやバンドなどが自分の名前を商標登録して、悪用されないように対処し、自分でNFTを発行する機会を得ることもできる。
これって何か新しいことなのだろうか?もちろん、NFTが登場する以前からブランドや知的財産の保護は強く推奨されていた。NFTによって改めてこのことが強調されたのではないふだろうか。(訳者注**) 

結論
あらゆるデータがNFTになりうるため、NFTはデジタル製品の新しい販売手法となろう。芸術家にとっては、デジタルアート(またはアート作品のデジタル派生物)を販売する新しい方法となり、バンドにとっては、出版社を通すことなく、より簡単に視聴者にアプローチできる方法となろう。また、有名ブランドにとっても、デジタル市場における販売が可能になる。非常に興味深い展開だ。

訳者注*:Non-fungible token(非代替性トークン)は、代替や交換されることのないデータで、ブロックチェーン上で発行および取引されるためコピーやハッキングが非常に困難なトークン。従来は資産価値の付与が難しかったデジタルデータだが、NFTにより資産的価値と売買市場が形成された。
訳者注**:米国ではNFTを含む指定商品の商標出願が見られるようになってきた。

本文は こちら (The new world of brands: NFTs)