フェラーリ・デイトナ・スパイダーの自作レプリカを転売するとき、商標権の問題を心配する必要があるのだろうか?この問題に関する最近の裁判で、オランダのハーグ地方裁判所は、転売者が自動車メーカー、フェラーリ社の商標権を侵害しているという判決を下した。ただし、フェラーリ社が要求したキットカー(kit car)の破壊までは認めなかった。
キットカーとは、一般的な中型車のシャシーに有名な車種のボディを載せ、エンジンとブレーキを搭載した自作の車のことである。今回のケースでは、キットカーは、シボレー・コルベットC3のシャシーにフェラーリ・デイトナ・スパイダー、あるいは少なくともフェラーリ・デイトナ・スパイダーを思わせる構造を持つものとされていた。
オランダのキットカー販売業者が米国から輸入し、オランダのオンラインマーケットに出品したもので、フェラーリ社はこの車を差し押さえた。ハンドル、ホイールキャップ、車のフロントとリアにある標章が、フェラーリ社の商標(有名なカヴァッリーノ・ランパンテ:跳ね馬)を侵害しているだけでなく、キットカーの外観がデイトナ・スパイダーのデザインに関するフェラーリ社の著作権を侵害していると主張した。
裁判所は、キットカーがフェラーリのスパイダーモデルと同一ではなく相違点があるにもかかわらず、キットカーに全体的に類似する印象があることをフェラーリ社が十分に立証できなかったと判断し、フェラーリ社の著作権侵害の訴えを棄却した。
しかし、裁判所に提出された証拠画像が完全には明確ではなかったものの、キットカーに描かれた「小さな馬」がフェラーリ社のEU登録商標に「一致しているか、少なくとも非常によく似ている」ことから、このキットカーがフェラーリ社の商標権を侵害していることは明らかであると裁判所は認めた。裁判所は、ハンドルとホイールキャップの標章がオンライン上の広告では見えなかったという事実は重要ではないとした上で、これらの標章は販売者のショールームで目にすることができ、それだけで取引上での侵害行為に当たるとし、このことは標章の一部がガムテープで覆われていたとしても変わらないと判断した。
もし、スパイダーのデザインに関するフェラーリ社の著作権が侵害されたことが認められたとしたら、キットカー全体の破壊は当然の判断だったかもしれないが、商標権侵害のみが認定されたことで、破壊はあまりにも厳しい措置であると裁判所は考えた。結局のところ、侵害標章は簡単に取り外すことができるため、科せられた罰則で標章がキットカーに再利用されるのを防ぐのに十分だと考えられた。
結局、被告は2営業日以内にキットカーから標章を除去し永久に破棄する条件で、キットカーを取り戻すことができた。標章の除去と破棄に立ち会う執行官は、標章が除去され破棄された報告書をフェラーリ社の弁護士に送付し、その後、キットカーは再び販売できるようになる。