事件の概要:
金蝶公司は有名な企業管理ソフトウェア会社であり、高い技術力を誇り、業界トップクラスの企業に属する。金蝶公司が異なる規模の企業向けに開発したKISソフトウェア、K/3ソフトウェアは市場で非常に好評を博している。
2020年に、金蝶公司は2社のエンドユーザーからKISソフトウェア、K/3ソフトウェアが正規品であるか否かの確認に関する請求を相次いで受けた。金蝶公司の調査によると、関連のソフトウェアはいずれも海賊版であり、海賊版ソフトウェアの販売者はいずれも隆迪公司であった。
金蝶公司は集佳法律事務所に対して法院への権利侵害訴訟の提起を委託した。訴訟が提起される前に、隆迪公司は法的責任を逃れるために登録抹消を行った。集佳法律事務所は事件状況を総合的に分析し、隆迪公司の株主、清算委員会の構成員を被告として訴訟を提起し、踏み込んだ調査を通じて証拠を固めた。先ごろ、昆明市中級人民法院は隆迪公司の権利侵害の成立を認定し、隆迪公司の清算委員会の構成員が賠償責任を負うことになり、事件は一審で勝訴した。
事件の要点:
本件において、集佳弁護士は事件にかかわる権利侵害行を分解し、ソフトウェア著作権侵害と商標権侵害を個別の事件として訴訟の組合せを行った。
権利侵害者がすでに登録抹消を行った状況については、隆迪公司の企業工商記録の調査・収集を通じて、当該公司の登録抹消がまだ完了していないことを示す証拠を探し当て、これにより法院は、隆迪公司の清算委員会構成員が隆迪公司の権利侵害行為について賠償責任を負う旨の金蝶公司の訴訟請求を支持した。
本件の権利侵害者である隆迪公司は以前に金蝶公司の正規代理店であったことから、被告は隆迪公司が正規代理店であることを理由に非侵害の抗弁を行った。事件の審理において、集佳弁護士は正規品ソフトウェアの流通体系、販売方法を詳細に説明し、被告の非侵害の抗弁を否定した。
ソフトウェア権利侵害事件において権利者はしばしばエンドユーザーの通報に依存して権利侵害行為を発見し、関連の権利侵害者が利益を獲得したことを示す証拠は通常、権利侵害者と権利侵害行為を通報した特定のエンドユーザーの間の契約に限定されるが、発見された海賊版ソフトウェアの販売契約は通常、すべての海賊版ソフトウェア販売契約のうちのごく一部であることから、事件の判決における賠償金額は制限のある契約金額の制約を受けることになり、権利者は十分な賠償を得ることができなくなる。集佳弁護士は本件において隆迪公司の政務資料の調査・収集に成功し、税務情報を裏付けとして、本件における制限のある契約金額の制約を克服した。
証拠により明確に示すことができる係争物のソフトウェアの権利侵害による獲得利益については、ソフトウェア著作権侵害事件において賠償を請求する。証拠により明確に示されていない係争物のソフトウェアの権利侵害による獲得利益については、商標権侵害事件において賠償を請求するものとし、訴訟の組合せにより権利者の損失が十分な賠償を得ることができる。