2021年4月27日に、最高人民法院は「最高人民法院知的財産事件年度レポート(2020)」を公表した。当該レポートにおいては、2020年に最高人民法院の結審した知的財産事件から55件の典型判例を選出し、これらの判例から一定の指導的な意義を有する63個の法律適用問題をまとめ、知的財産分野の新型案件、難しい案件、複雑な案件の審理における最高人民法院の考え方及び裁判方法を反映した。
そのうち、弊所が代理した再審申立人であるアモイ象球日用化工有限公司(以下、「アモイ象球社」という。)と被申立人である国家知識産権局、一審第三者フマキラー株式会社との間の商標権無効宣告行政紛争事件「(2020)最高法行申3522号」は、当該年度レポートに選出された。
当該事件において、弊所はフマキラー株式会社の代理人として、先行著作権を侵害した理由でアモイ象球社の登録商標に対し、無効審判を提出した。アモイ象球社は、登録商標を無効した旨の無効審決を不服として、北京知識産権法院に審決取消訴訟を提起した。
弊所の弁護士は、第三者であるフマキラー株式会社の代理人として訴訟に参加し、アモイ象球社による訴訟請求及び事実と理由に対し、全面的に反論した。北京知識産権法院による一審判決と、北京市高級人民法院による二審判決とも当方の主張を支持した。アモイ象球社は、先行著作権の有効期間が満了したため情勢変更原則を適用すべきであることを理由として最高人民法院に再審を申立てた。最高人民法院は、2020年8月に同再審申立を棄却し、以下のとおり判断した。
「商標を出願する際、他人の先行権利を侵害してはならない。先行権利が存在しているか否かを判断する時点は、遅くとも商標の登録査定日までである。『登録査定日』を、係争商標の登録が認められるか否かを判断する全ての行政・司法段階と解釈する申立人の主張は、成立できない。」
(出所:北京林達劉知識産権代理事務所)
本文は こちら